環境・公害対策部だより
近畿ブロック公害学習交流会 感想文
2013.11.15
見て見ぬ振りできぬ
原発事故避難者の切なる声
保団連近畿ブロックは10月20日、公害環境担当者交流会と学習交流会を京都協会会議室で開催し、近畿各府県から29人が集まった。兵庫協会から、山中忍理事、錦和彦評議員が参加した。医療問題研究会の高松勇先生が「福島甲状腺がん多発を受けて健康被害の現状を明らかに」をテーマに講演し、福島原発事故による避難者団体との交流を行った。山中理事の感想を紹介する。
学習交流会第二部では避難者団体との交流会が行われ、内部被曝から子どもを守る会・関西代表である中村純氏と避難者と支援者を結ぶ京都ネットワーク「みんなの手」代表の西山祐子氏の意見を真摯に拝聴することができた。
福島原発事故自主避難者の声を初めて聞くことができた! 緊急性のある大変重大な事柄であると心で理解して、急に涙がこぼれそうな状況になってしまった。
福島県の本来の人口は約210万人、その内約15万人が避難者である。県外避難者は約5万人で、その内避難指示区域(11市町村)の住民ではなく、福島市や郡山市から自主避難した人の数は約2万8000人に上る。ただ、この数字は行政の補助を受けている人に限られ、実際の自主避難者数は当然福島以外にもたくさんおられるので、これよりもかなり大きいとみられている。
現在避難者への各種補助等が打ち切りになっている。国から一世帯当たり月6万円以下の家賃が補助され、自主避難者にも適用されていたが、この補助の新規申請が昨年末に打ち切られた。
代替策と位置付けられ、前政権時代に成立した「原発事故子ども・被災者支援法」の運用は、政権交代で事実上棚上げにされている。基本計画はおろか、支援策の予算付けもしていない。被災者の「生きる」、そして「暮らす」、「避難する権利」が奪われた形になりつつある。
できれば自主避難など誰もしたくはない。除染が不十分であり子どもの内部被ばくが避けられない現実を前にして、子どもを避難させたいと願うのは母親の真心である。
多くが母子避難者である。母子自主避難者の方々は、福島在住の方々も含め、原発事故被災者の方々の命と暮らしを守ってほしいと切望している。
避難移住者たちの手記第二集(※)が発刊されている。医師の方々は、ぜひこの手記を読んでいただきたい。そして共に学んでいただきたい、何ができるかを至急検討していただきたい。見て見ぬ振りは絶対にしてはならない。
【灘区 山中 忍】
※参考資料
『避難移住者たちの手記 第2集 ──子ども被災者支援法に実現する私たちの補償と権利』(こども検診医療基金関西、内部被曝から子どもを守る会、関西疎開移住者ネットワーク 発行)
お求めは、▲078―393―1807協会事務局まで