環境・公害対策部だより
原発推進の「エネルギー基本計画」に抗議声明
2014.03.25
2月25日、安倍政権が決定した「エネルギー基本計画」において、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、原発重視、依存の姿勢を明らかにした。これを受け、協会は3月13日、下記の抗議文を採択し、関係各機関に送付した。
2014年3月13日
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
原発推進の
「エネルギー基本計画」に抗議する
兵庫県保険医協会理事長 池内 春樹
安倍政権が2月25日決定した、「エネルギー基本計画」の政府案は、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけて、新規制基準に適合した原発の再稼働や、核燃料サイクル政策推進を明記するなど、原発重視、原発依存の姿勢を明確に打ち出した。
東日本大震災・福島第一原発事故から3年を迎え、なお27万人が故郷を奪われて全国に避難している。いまだに福島第一原発には近づくことすらできず、原子炉の冷却水は漏れ続け、環境を高度に汚染し続けている。事故原因の解明も進んでいない。帰還困難区域、居住困難区域を生み出し、被害総額は計り知れない。
再稼働は「安全性を全てに優先」させるとしているが、事故原因も解明できないまま、独立性の疑問視される原子力規制委員会により作成された新規制基準は到底「安全」とは言えない。また、原発稼働で必ず生まれる危険な使用済核燃料や放射性廃棄物をどう処理するのかについて、全く解決策を示していない。長期的視野に立てば、採算性がとれるものではないことも明白である。
日本世論調査会が実施した世論調査(3月1・2日)で、原発の望ましい比率について「即時ゼロ」と「将来はゼロ」をあわせて69%となり、「安全性を確認した原発の再稼働」について「反対」が54%であるなど、「原発ゼロ」が国民の声であることは明確である。
こうしたなかでの原発再稼働は許されるべきものではない。国がエネルギー政策において重点とすべきは、再生可能エネルギーの拡充であり、放射能汚染物質の拡散防止技術や回収技術、核廃棄物の安全処理技術や原発の廃炉技術の開発、放射能汚染環境の身体への影響調査であり、省エネ、節エネ、エネルギーの効率利用など、原発に頼らないエネルギー政策の推進、実行であろう。
われわれは、いのちと健康をまもる医療者として、事故による放射能汚染の危険性を内包し、安定処分できない危険な核廃棄物を産生し続ける原子力発電所について、再稼働を到底容認することはできない。安倍政権が、原発推進の「エネルギー基本計画」を撤回し、原発ゼロ実現に向けたプロセスを決定し、循環型社会の創生を目指すことを求める。