環境・公害対策部だより
第2回避難者健康診断「避難者、被災者の心のケア継続する必要性実感」
2014.04.05
東日本大震災・福島第一原発事故避難者を対象とした第2回避難者健康診断が、3月9日、神戸協同病院で実施され、47人(大人21人、子ども26人)が、甲状腺エコーや血液検査などを受けた。
兵庫県民主医療機関連合会(民医連)が主催し、協会の池内春樹理事長、公文病院(長田区)の矢藤慎也先生らが小児科の診察を行い、親子の抱える不安や悩みに耳を傾けた。矢藤先生の参加記を掲載する。
東日本大震災および福島第一原子力発電所事故から3年が経ちました。今なお多くの人々が避難生活を強いられ、原発事故の処理はいつ終わるかもわからない状況です。しかし、関西在住の私にとって、日々の生活の中でそれらの影響を感じることは少なく、3年前の大きな衝撃は薄れていました。日本人として、また医師として、これではいけないという思いから、3月9日に実施された避難者健康診断に参加いたしました。
私は小児科医として小児の診察を行いましたが、驚いたのは、想像以上に親御さんの不安が強いことでした。特に原発事故による放射性物質の影響を懸念されており、それを避けるように各地を転々として兵庫県に来られた方、子どもの食べ物に細心の注意を払っていらっしゃる方、決してまれではない小児の症状と、放射性物質との関連を疑われる方などがいらっしゃいました。もし自分が被災地にいたなら同じことを考えるかもしれないと思うと、とても医学的には問題ないなどという、無責任なことは言えませんでした。
本健診の主な目的は、避難者の方々が現在、そして将来にわたっても自分の身体の状況を把握し、健康管理に役立てていただこう、その環境を提供しようというものです。医師として今後もそのお手伝いができれば幸いだと思いました。そして、健診は国家規模で行うべきだとも思いました。
ただ、私が痛感したのは、震災と原発事故が人々に与えた精神的苦痛の重大さや根深さでした。このような機会を通して、少しずつでも、避難者や被災者の方々の心のケアを行う必要性を実感いたしました。