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尼崎アスベスト訴訟(労災型)

2015.04.05

 クボタと国の責任免罪する不当判決

 尼崎アスベスト訴訟(労災型)の判決が3月23日、神戸地方裁判所で行われ、裁判所は原告の請求を棄却する不当判断を行った。訴訟は尼崎市内のクボタ旧神崎工場へのアスベスト(石綿)原料の運搬に従事し、肺がんで死亡した男性の遺族が、クボタと国を相手に謝罪と損害賠償を訴えていたもの。
 

アスベスト.JPG

 

また、溶接工として石綿エプロンや石綿手袋などを使用して複数の鉄工所に勤務し、肺がんで死亡した男性の遺族が国を相手に訴えていた裁判についても、原告の請求を棄却した。
 判決は、運搬に従事した男性が「肺がんを発症したのは石綿粉じんに曝露したことが原因である可能性が高い」と認めながらも、低濃度での曝露によって重大な健康被害が生じるとの医学的な知見は確立していなかったとしてクボタと国の責任を免罪した。
 原告団は「予見可能性について安全性に疑念を抱かせる程度の抽象的な危惧であれば足りるとする従来の裁判例を否定するもの」と厳しく批判している。
 また鉄工所に勤務した男性は「肺がん発症が業務中の石綿粉じん曝露によるものとは認められない」としたが、原告団は「石綿に職業曝露したことを認めた労災認定と矛盾している」などと批判した。
 140人もの支援者が集まった判決後の報告集会で船越正信先生(「アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会」会長・尼崎医療生協理事長)は「低濃度の被曝でも健康被害が生じることは明らかだ。規制を怠った国、危険を知りながら使用を続けたクボタの責任は免れない。アスベストによる被害者は現に起きているし、今後、全国各地で発生することが予想される。今回の判決は今後の被害者救済の道を狭めるものでもあり到底許されない。直ちに控訴して運動を続ける」と力強くあいさつした。
 協会尼崎支部は「アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会」に参加、八木秀満支部長が同会代表委員をつとめ、署名運動など訴訟の支援を行ってきた。

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