兵庫県保険医協会

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環境・公害対策部だより

伊方原発の再稼働許さない「パブリックコメント」の提出を

2015.05.25

 原子力規制委員会は5月20日、四国電力伊方原発3号機について、安全対策が新規制基準を満たしているとする「審査書案」をまとめました。6月19日までの意見募集をへて審査書が決定され、地元の同意などを経て、年内にも再稼働が狙われています。  
 しかし、高浜原発差し止め訴訟で、福井地裁が新規制基準について「緩やかにすぎ、これに適合しても原発の安全性が確保されていない」と指摘しているように、新規制基準に適合したからといって、原発が安全だとは全くいえません。
 どんなに低い確率でも事故を起こすと取り返しのつかない被害を及ぼし、使用済み核燃料などの処分方法も決まらない原発は稼働すべきではありません。
 協会は、いのちと健康を守る医師の団体として、伊方原発の安全性に懸念を示すパブリックコメントを提出しました。
 協会会員の先生方のご意見をぜひパブリックコメントの形で投稿していただいて反映していただければと願っております。よろしくお願い申し上げます。
 提出先は、住所・氏名・連絡先を明記の上、FAX:03―5114―2179 原子力規制庁安全規制管理官(PWR担当)宛てまで。原子力規制委員会のホームページ(http://www.nsr.go.jp/)からも提出できます。6月19日まで。

「四国電力株式会社伊方発電所3号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案に対する科学的・技術的意見の募集について」

                  団体名 兵庫県保険医協会         

      意見提出者 環境・公害対策部長 森岡 芳雄
反核平和部長 近重 民雄

 われわれは、いのちと健康を守る医師の団体として、下記の点から、本審査書で認められた四国電力伊方原発3号炉の安全性に対し、科学的・技術的に懸念があり、再稼働に反対する。

1.そもそも原発稼働により産出される放射性廃棄物の処理方法が確立していない
2.原発内に保存される使用済み核燃料の保管状態は福島第一原発事故以来、非常に危険性の高いものであることが判明しているが、これについて何ら検討が加えられていない。
3.本審査の基準となる新規制基準そのものが、欧州加圧水型原子炉の安全設備と比較して、安全上重要な系統設備の多重性として、独立した4系統が求められているのに対して2系統しかないなど審査基準として不十分であり、安全性が保障されたとは、言いがたいものである。
4.審査書案では、プルサーマル運転(プルトニウムを混合したMOX燃料を用いた運転)の危険性について十分考慮されていない。MOX燃料はウラン燃料と異なった危険性があるにもかかわらず、重大事故対策でMOX燃料を用いた場合の解析がない。
5.「3―1 地震による損傷の防止」で、耐震設計の目安となる基準地震動を最大650m/s2(650ガル)としたが、2007年の中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原発1号機は1699ガルを経験している。伊方原発は敷地の北に中央構造断層帯、南に南海トラフが走っており、地震国日本の原発の中でも大地震に襲われる可能性の高い原発である。この基準地震動はかなり低いと考えられ、問題である。
6.福島第一原発事故から、万が一事故が起きたときの避難計画の策定が安全性の確保のためには必須であるが、避難計画が審査基準の対象から外され、地方自治体任せになっている。さらに、伊方原発は愛媛県の海に突き出た佐田岬半島の付け根にあり、原発事故が起こった場合、半島西側の住民約5000人は取り残される恐れがある。大地震の際に放射性物質が拡散する中、被ばくせずに避難させる実効性のある安全な避難計画が策定されていない。
7.伊方原発は瀬戸内海に面し、原発事故により瀬戸内海が汚染された場合、この海域の水の入れ換わりは遅く、数十年以上の長期にわたって汚染され続けることになる。福島第一原発事故と同規模の事故シミュレーションを行い、瀬戸内海の海洋環境への被害予測を策定すべきである。
8.伊方原発では事故発生時、その立地条件から要員の派遣、物資の搬入は困難を極め、また、事故対策施設や発生した汚染水、汚染物質などを一時的貯蔵・保管する場所さえ確保することができない。
9.南海トラフ大地震の際に四国全土にわたる被害が想定され、四国の火力発電所の津波による被災や送電網システムの被災も充分に考えられ、伊方原発への電源喪失が数カ月に及ぶ危険性があるが、これに対する検討が一切されていない。
10.再稼働の前提となる、地元同意の根拠となる安全協定を四国電力と結んでいるのは愛媛県と伊方町だけであるが、原発で事故が起こった場合、影響はより広範囲に及ぶ。原発から30キロメートル圏内には大洲市や西予市や内子町なども含まれる。地域内自治体の同意なしの再稼働は認められない。
11.「フィルター付きベント」の設置が猶予されたまま、整備できていない。

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