環境・公害対策部だより
神鋼の増設石炭火発建設をゆるさない「パブリックコメント」の提出を
2015.08.05
環境・公害対策部長 森岡 芳雄
神戸製鋼所(神鋼)は、6月30日に神戸製鉄所高炉跡地に建設予定の石炭火力発電所(発電規模130万kW)について環境影響評価方法書の縦覧と意見募集を開始すると発表しました。影響評価方法書とは、どのような項目について、どのような方法で環境アセスメント(環境への影響を事前に評価すること)を実施していくのか、計画を示したものです。8月17日までの意見募集を経て評価項目を選定し、建設も進めようとしていますが、阪神間の幹線道路が集中し大型車両の交通量が非常に多く、小児喘息罹患率も増加している地域に、大規模な石炭火力発電設備を建設することには大きな問題があります。協会は、いのちと健康を守る医師の団体として、神鋼が増設しようとしている石炭火力発電所の環境影響評価方法書の内容に懸念を示すパブリックコメントを提出しました。要旨は下記の通りです。
①本「方法書」は、神戸製鋼所ホームページでの公表が行われているが、ホームページからダウンロードも印刷もできない。印刷もコピーも可能にすべきだ。
②縦覧場所や説明会の開催地を神戸市中央区・灘区・東灘区、芦屋市に限定しているが、環境汚染物質の飛散が想定される20キロメートル圏内全ての行政区で環境影響評価方法書縦覧手続きをやり直すべきだ。
③石炭は、化石燃料の中で最も多くのCO2を出し、PM2・5や水銀を含む重金属類を排出する最悪の燃料である。世界の国々が温暖化ガス削減に取り組み、EU諸国やアメリカは石炭火電の縮小・廃止をめざしている。石炭火力発電所の新増設はやめるべきだ。
④温排水による排熱も地球温暖化には大きな問題である。熱エネルギーを有効活用し、排熱を軽減するために、コ・ジェネレーション、バイナリー発電の導入を積極的に検討すべきだ。
⑤ばい煙に関する事項として、NOx、SOxともに10年ほど前に造られた磯子石炭火力発電所の規制値を超えている。最新鋭の環境対策を実施していくのであれば、せめて磯子石炭火力発電所の規制値以下になるようにすべきだ。
⑥微粒子状物質(PM2・5)を評価対象に加えるべきだ。