環境・公害対策部だより
石炭火力発電所の新設を容認する環境省に抗議する
2016.02.13
丸川珠代環境大臣殿
2016年2月13日
石炭火力発電所の新設を容認する環境省に抗議する
兵庫県保険医協会
第1033回理事会
石炭火力発電所の新設計画について、これまで環境省は温室効果ガスの削減目標の達成が難しくなるとして一部の計画に異議を表明していたが、2月8日、丸川環境大臣は経済産業省と電力業界が管理強化を打ち出したことで、方針転換し、建設を容認することを表明した。
石炭火力発電所は、最新高効率のものでもエネルギー効率は40%前半と、LNGコンバインド発電の60%台には遠く及ばず、CO2の排出量も2倍近い。日本政府はCOP21にあたり「2030年までに2013年と比べ26%削減する」という目標を掲げたが、この目標はそもそも国際的に見て非常に不十分なものである。何の保証も拘束力もない業界団体の自主規制で、石炭火力発電所の新増設を現状のまま容認すれば、この2030年の最低目標の達成すら困難になる。石炭火力発電所は建設後40年は稼働することから、政府が閣議決定した長期目標「2050年80%削減」の目標達成もまず不可能な状況となる。
日本の環境政策を担い、気候変動を防ぐ立場にある環境省が石炭火力発電所の建設を容認する方針転換をおこなったことは、昨年12月に日本も参加し、合意した「パリ協定」の地球規模で低炭素社会への移行を進めていくという世界の潮流に逆行するものであり、国際社会から大きな批判を受ける愚挙である。
石炭火力発電所は水銀を始めとする重金属、ベンツピレンなどの内分泌攪乱物質、NOX、SOXなどの大気汚染物質を排出することから、健康被害の点からみても新増設は容認するべきではない。
われわれは、いのちと健康を守る医療者として地球環境の破壊と地域環境の汚染を招く石炭火力発電所の新増設に反対する。
環境省は経済産業省や電力業界の圧力に屈することなく、石炭火力発電所の新設容認の方針を撤回し、石炭火力発電所の建設計画の抑制、停止に努め、省エネや再エネの導入による低炭素社会の創生に向けて尽力するよう強く要請する。