環境・公害対策部だより
【声明】40年を超えた美浜原発3号機の「審査書」 正式決定に抗議し、再稼働しないよう求める
2016.10.22
40年を超えた美浜原発3号機の「審査書」
正式決定に抗議し、再稼働しないよう求める
兵庫県保険医協会
第1047回理事会
運転開始から40年を超える老朽原発である関西電力美浜原発3号機について、原子力規制委員会は10月5日、再稼働の前提となる新規制基準に「適合」しているとする「審査書」を正式決定した。老朽原発の審査合格は関西電力高浜1・2号機に次いで2例目になる。
「原子力発電所は運転開始から原則40年で廃炉に」というルールは、そもそも福島第一原発事故を受け、民主・自民・公明の3党合意の下、核燃料から放出される放射線により原子炉圧力容器が劣化し、危険であることなどの理由で定められたものだ。現在の技術で原子炉圧力容器や配管の劣化などを十分に検査することは不可能である。「1回だけ、最長20年」という運転延長規定は、規制委員会も「極めて例外的」「(認可は)相当困難」と説明していたはずである。
今回の「審査書」について意見公募で寄せられた1390件の大半は老朽化による危険性の増大や基準地震動の不十分さへの懸念を指摘するものだった。しかし、規制委員会は審査書案の見直しは字句修正程度で、抜本的な変更を行わなかった。電力事情がひっ迫してもいない現状において、原発の危険性を指摘する国民の声に耳を傾けない規制委員会の姿勢は断じて許されない。
われわれは、いのちと健康をまもる医療者として、事故による放射能汚染の危険性を内包し、安定処分できない危険な核廃棄物を出し続ける原子力発電所の新設、増設、再稼働を到底容認することはできない。大津地裁の高浜原発3・4号機運転差し止め仮処分決定でも指摘されているように、原子力規制委員会は、不完全で危険性を受容した新規制基準をもとにした審査をやめるべきである。原発ゼロを求める国民の声に耳を傾け、美浜原発3号機の再稼働を断念し、今すぐ廃炉にするよう関西電力に強く求める。