兵庫県保険医協会

原子力規制委員会委員長　田中俊一　殿

大飯原発３、４号機の新規制基準合格に抗議する

兵庫県保険医協会

第1060回理事会

　原子力規制委員会は大飯原発３、４号機について、５月24日に開かれた定例会合で、同原発が新規制基準に適合していると決定した。同原発は2014年５月21日の福井地裁の運転差し止めを命じる判決により停止中であり、現在、関西電力の控訴を受け、名古屋高裁金沢支部で係争中の対象である。

　福島第一原発事故の事故原因は未だ究明されておらず、新規制基準は欧州加圧水型原子炉の安全設備と比較して、安全系統設備の多重性、コアキャッチャーの設置、大型商用航空機の衝突の設定、サイバーテロへの防御、などの点において明らかに劣っている。審査に際し、現行の基準地震動策定方法に対して委員会前委員長代理の島崎邦彦東大名誉教授や石橋克彦神戸大学名誉教授から過小評価であると異議や懸念が表明されているにもかかわらず、充分な科学的検討を行わないままに一方的に退け、プルサーマル運転の危険性や大飯原発が福井県の原発集中立地点にあることも考慮せず、他の原発で実際に不正が発覚しているにもかかわらず、現物確認をほとんど行わずに審理している。

　われわれは、いのちと健康をまもる医療者として、規制委員会に大飯原発３、4号機の審査合格の取り消しと国民の安全と国土の環境保全を最優先にした人道的科学的審理の実施を求める。