環境・公害対策部だより
【声明】東海再処理施設廃止計画を踏まえ、核燃料サイクルを断念するよう政府に求める
2017.07.12
東海再処理施設廃止計画を踏まえ、
核燃料サイクルを断念するよう政府に求める
兵庫県保険医協会
環境・公害対策部長 森岡芳雄
日本原子力研究開発機構は6月30日、原子力発電所の使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出す「東海再処理施設」について、廃止作業に70年、総費用は1兆円に上るとの計画を原子力規制委員会に提出した。この廃止計画提案によって、国策で進められてきた核燃料サイクル政策には膨大な費用と年月がかかることが改めて示された。われわれは、国に対して核燃料サイクル政策を断念するよう求める。
政府は福島第一原発事故以降も、原発は安価なエネルギーだと喧伝しているが、これには廃炉費用や核燃料サイクル費用や核燃料廃棄物処理費用や重大事故処理費用は含まれておらず、実態を反映していない。原発は危険性が高く、高コストなエネルギーだと断言しうる。今回の再処理施設の膨大な廃止費用も国費により賄われるが、当然その原資は国民の税金である。核燃料サイクル政策が膨大な国民負担を強いるものである。
われわれはいのちと健康をまもる医療者として、事故による放射能汚染の危険性を内包し、安定処分できない危険な核廃棄物を産出し続ける原発の新設、増設、再稼働を到底容認することはできない。政府は、高コストと危険性の両面を踏まえて、「プルサーマル」を含めた一切の「核燃料サイクル」政策を放棄し、現存するプルトニウムの処分技術の開発に注力すること、エネルギー政策を「原発ゼロ」に転換することを強く求める。