環境・公害対策部だより
【声明】玄海原発3号機の再稼働に強く抗議する
2018.03.28
九州電力株式会社代表取締役社長 瓜生道明殿
玄海原発3号機の再稼働に強く抗議する
兵庫県保険医協会
環境・公害対策部長 森岡芳雄
九州電力は3月23日、玄海原発3号機を再稼働させた。東京電力福島第一原発事故の収束作業も見通せず、多くの国民が「脱原発」を求めている中での原発の再稼働は断じて容認できない。
玄海原発3号機の発電方法である、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使用するプルサーマル発電は、通常のウラン燃料に比べ制御棒の効きが低下するため、事故のリスクが高いだけでなく、事故時の放射能汚染も格段に深刻になる。とりわけ危険なプルサーマル発電は中止すべきである。
また、原発は一度事故を起こすと周辺の自治体も大きな被害を受けることから、玄海町のみでの地元同意は不十分である。実際、避難計画の策定が義務付けられている30キロ圏内にある8市町のうち、佐賀県伊万里市と長崎県壱岐市・平戸市・松浦市の4市は再稼働に反対を表明している。とりわけ玄海原発の周囲に数多く存在する離島では、実効性のある避難計画が策定されているとはとても言えない。事故で影響を受ける全自治体、住民の声をしっかりと受け止め、九州電力は再稼働を中止すべきである。
火山のリスクについても広島高裁は昨年12月、阿蘇カルデラの巨大噴火の影響を極めて深刻にとらえ、四国電力伊方原発3号機の運転を差し止める決定を出した。阿蘇からの距離が同原発とほぼ同じである玄海原発の危険性は明白である。
さらに、原発の核燃料廃棄物貯蔵プールも再稼働すれば5~6年で満杯になる。九電は「乾式貯蔵」などを進めて、容量を増やす方針としているが、原発敷地内での長期保管につながる可能性があり、地元の理解を得ているとは言えない。そうした中で原発を再稼働させるのはあまりにも無責任である。
九州電力は、福島原発事故の反省に立たず、自社の利益追求に走り、多くの国民が「脱原発」を求めているにも関わらず再稼働を強行した。いのちと健康をまもる医師・歯科医師として、このことに、われわれは強く抗議するとともに、玄海原発3号機をはじめ、現在稼働中の原発すべてを停止させ、廃炉にするよう九州電力に強く求める。