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【声明】原子力災害拠点病院を診療報酬での加算対象にしないよう強く求める

2018.05.12

原子力規制委員会委員長 更田豊志殿

原子力拠点病院を診療報酬での加算対象に

しないよう強く求める

兵庫県保険医協会

第1075回理事会

 原子力規制委員会は、原子力災害時の被ばく医療で中核的な役割を担う「原子力災害拠点病院」の指定を促すため、同病院を診療報酬の加算対象とするよう、厚生労働省と協議する方針を固めたと、毎日新聞で報道されている。このことは、診療報酬のあり方を歪めるものであり、断じて容認できない。

 診療報酬は、国民皆保険制度によって、安全で有効な医療を国民すべてに提供するために、公的保険で受けられる医療の範囲と量を定めたものである。

 原子力規制委員会は、災害拠点病院に対する診療報酬上の評価と同様の規定を原子力災害拠点病院にも準用することを検討するとされている。しかし災害拠点病院は、自然災害発生時も国民への医療提供体制を保障するという高い公益性を有しており、診療報酬上でも保障されるべきものだが、原子力災害は、国の原子力推進政策によって生じる人災であり、自然災害とは全く性格が異なる。原子力推進政策のために、一部の病院を診療報酬上で評価することは、公益性に欠けた、いわば保険財源の目的外使用であり、国民保険料負担を増加させ、国民皆保険制度の仕組みを揺るがすものとなる。 

 加えて、原子力災害拠点病院の指定が進まないために、診療報酬上の評価を新たに検討せざるを得ない状況となっていることは、政府の原子力推進政策が原子力災害拠点病院に対して対策費の負担を強いていることの表れである。これらの費用も考慮に入れると、原発は政府や電力会社が宣伝するような安価なエネルギーでは決してない。周辺住民への危険を伴い、安価でもなく、地域の病院に負担を強いる原子力推進政策はすぐに転換すべきである。

 われわれは、必要十分な医療を国民に提供し、いのちと健康をまもる医師・歯科医師の団体として、原子力災害拠点病院を診療報酬の加算対象とすることに強く反対するとともに原子力推進政策からの転換を求める。

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