環境・公害対策部だより
【声明】島根原発3号機の新規稼働計画の中止を求める
2018.06.09
中国電力株式会社取締役社長 清水希茂殿
島根原発3号機の新規稼働計画の中止を求める
兵庫県保険医協会
第1077回理事会
中国電力は5月22日、建設中の島根原発3号機(松江市)の稼働に向けた事前の了解を立地自治体に申し入れた。東京電力福島第一原発事故の収束作業も見通せず、多くの国民が「脱原発」を求めている中での原発の新規稼働は、断じて容認できない。
建設中の島根原発3号機は、新規性基準を踏まえた安全対策工事を2019年前半に終える予定としている。福島の事故後に、新規増設した原発の第1号になる可能性があり、原発の運転期間についての「原則40年」ルールに従えば、2060年ごろまで稼働する計算となる。重大事故発生時には、広範囲が高濃度の放射能に汚染され、核のゴミの処分さえ見通しの立たないなかでの新たな原発の稼働は、現在と未来に対してあまりに無責任な方針である。
現在も電力需給に差し迫った状況はなく、省エネや節電により電力消費量の減少も見込まれるばかりか、再生可能エネルギーによる発電も大幅に増加する見通しである。人口動態、産業構造の変容から見てもエネルギー需給が今後特段に逼迫するとも思えず、新規原発を稼動させるに足る理由はない。
島根原発で事故発生時に周辺住民が避難を行えば、30キロ圏内の自治体から広島県内に約16万9千人が、岡山県内に約10万1千人が避難をするという推計が、島根県・広島県・岡山県の3県において締結された「広域避難に関する協定」で出されている。30キロ圏内の周辺自治体の了承を盛り込んだ安全協定もなく、周辺自治体の同意なく稼働させようとしている中国電力の姿勢は言語道断である。
われわれは、いのちと健康をまもる医療者として、事故による放射能汚染の危険性を内包し、安定処分できない危険な核廃棄物を産出し続ける原発の新設、増設、再稼働を到底容認することはできない。中国電力が「事前了解手続き」を行い、稼働へ向けた手続き進めていることに強く抗議するとともに、直ちに手続きを中止すること、島根原発2号機の廃炉を政府・中国電力に強く求める。