環境・公害対策部だより
【声明】玄海原発4号機の再稼働に強く抗議する
2018.06.27
九州電力株式会社代表取締役社長 瓜生道明殿
玄海原発4号機の再稼働に強く抗議する
兵庫県保険医協会
環境・公害対策部長 森岡芳雄
九州電力は6月16日、玄海原発4号機を再稼働させた。東京電力福島第一原発事故の収束作業も見通せず、多くの国民が「脱原発」を求めている中での原発の再稼働は断じて容認できない。
玄海原発4号機は、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使用するプルサーマル発電を行っている。プルサーマル発電は通常のウラン燃料に比べ制御棒の効きが低下するため、事故のリスクが高いだけでなく、事故時の放射能汚染も格段に深刻になるものであり、ただちに中止すべきである。さらに、玄海原発4号機は5月に核燃料に直接触れる1次冷却水の循環ポンプで、トラブルを起こしている。机上の書類審査でしかない新規制基準審査に合格したところで、玄海原発の安全性は保障されておらず、九州電力に原発を運転する資格がないことは明らかである。
また、原発は一度事故を起こすと周辺の自治体も大きな被害を受けることから、玄海町のみでは地元同意を得たとは言い難い。とりわけ玄海原発の周囲に数多く存在する離島では、実効性のある避難計画が策定されているとはとても言えない。事故で影響を受ける全自治体、住民の声をしっかりと受け止め、九州電力は再稼働を中止すべきである。
さらに、原発の核燃料廃棄物貯蔵プールも再稼働すれば5~7年で満杯になる。九州電力は「乾式貯蔵」などを進めて、容量を増やす方針としているが、原発敷地内での長期保管につながる可能性があり、地元の理解を得ているとは言い難い。そうした中で原発を再稼働させるのは勝手きわまる行為である。九州電力では、今年4~5月の大型連休中、供給電力に占める太陽光の割合が一時80%を超えるなど、太陽光発電の普及が進んでいる。原発の為には揚水発電所までも建設しているにもかかわらず、4号機の再稼働に伴い今後余剰電力が発生した場合には、太陽光発電の買取抑制を示唆している。4号機の再稼働は不要である。
九州電力は、福島原発事故の反省に立たず、自社の利益追求に走り、多くの国民が「脱原発」を求めているにも関わらず再稼働を強行した。いのちと健康をまもる医師・歯科医師として、このことに、われわれは強く抗議するとともに、玄海原発4号機をはじめ、現在稼働中の原発すべてを停止させ、廃炉にするよう九州電力に強く求める。