環境・公害対策部だより
【声明】島根原発3号機の新規稼働審査申請への了解を撤回するよう求める
2018.08.08
島根県知事 溝口善兵衛殿
島根原発3号機の新規稼働審査申請への
了解を撤回するよう求める
兵庫県保険医協会
環境・公害対策部長 森岡芳雄
貴殿は8月7日、島根原発3号機(松江市)の新規稼働に向けた中国電力からの事前了解の申し入れを受け、了解されたと報道されている。東京電力福島第一原発事故では原因究明もされておらず、廃炉作業の収束も見通せてはいない。多くの国民が「脱原発」を求めている中での原発の新規稼働は、断じて容認できない。
建設中の島根原発3号機は、新規制基準を踏まえた安全対策工事を2019年前半に終える予定としている。福島原発事故後に、新規で建設、稼働した原発の第1号になる見通しで、原発の運転期間についての「原則40年」ルールに従えば、2060年ごろまで稼働する計算となる。放射性廃棄物の処分の見通しが立たない中での新たな原発の稼働は、現在と未来に対してあまりに無責任な方針である。
島根原発で事故発生時に周辺住民が避難を行えば、30キロ圏内の自治体から広島県内に約16万9千人が、岡山県内に約10万1千人が避難をするという推計が、島根県・広島県・岡山県の3県において締結された「広域避難に関する協定」で出されている。重大事故発生時には、広範囲が高濃度の放射能に汚染され、国家規模で多くの住民のいのちと健康に大きな影響を及ぼすのが原発である。稼働につながるような判断を一首長が決してするべきではない。
われわれは、いのちと健康をまもる医療者として、事故による放射能汚染の危険性を内包し、安定処分できない危険な放射性廃棄物を産出し続ける原発の新設、増設、再稼働を到底容認することはできない。貴殿には中国電力の審査申請への事前了解を撤回し、審査終了後の稼働を決して容認しないよう求める。中国電力には原発の新規稼働へ向けた手続き進めていることに強く抗議するとともに、直ちに手続きを中止すること、所有するすべての原発を廃炉にし、放射性廃棄物の安全、無害な処理方法を開発・検討・実施するよう強く求める。