環境・公害対策部だより
【声明】8000ベクレル以下の汚染土再利用計画に抗議し、撤回するよう求める
2019.03.23
8000ベクレル以下の汚染土再利用計画
に抗議し撤回するよう求める
兵庫県保険医協会
第1091回理事会
福島第一原発事故に伴う福島県内の1400万立方メートル以上にもなる汚染土などの除染廃棄物について、環境省は、放射性セシウム濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下であれば、県内の公共事業で再利用する計画を進めている。この計画は、福島原発事故による汚染土の最終処分は県外で行うという国民との約束を反故にし、汚染土の最終処分量を減らすことありきの内容で、国民への健康被害を全く考慮に入れていない。汚染土の再利用計画は断じて容認することはできない。
この計画の基本方針では「1m離れた場所での追加被ばく線量を年間0.01ベクレル以下に抑える」と明記している。しかし、原子炉等規制法に基づく規制において、原発の解体などによって発生した金属などの再生利用の基準は、放射性セシウムの場合100ベクレル以下となっており、今回の環境省の方針での基準はその80倍にもなる。
環境省の検討会で、放射能濃度が法定の安全基準まで減るのに170年間かかるとの試算が示されており、道路や防波堤などの耐用年数は70年とされていることから考えると、使用終了後も100年間の管理が必要ということになり、隔離をせずに170年もの間管理できるはずがないという指摘が出されている。
降雨、浸食、災害などにより汚染土がむき出しになり、大気中へ大量に放出される可能性がある。管理型の産業廃棄物処分場でさえ周辺の地下水の汚染は避けることができないことが判明している中で、公共事業の基礎に使うことでは、放射能汚染を防ぐことなど到底できるものではない。また、工事中において、工事従事者や通行人や周辺住民が粉塵吸入して体内被ばくする恐れすらある。
われわれは、いのちと健康をまもる医療者として、放射性汚染土の最終処分量を減らすことありきで、国民への健康被害を全く考慮に入れていない原発汚染土の再利用計画を断じて容認することはできない。環境省は、汚染土などの除染廃棄物を、公共事業で利用する基本方針をすぐに撤回するよう求める。