環境・公害対策部だより
【声明】経団連が提出した原発運転期間の延長を求める提言に抗議し、撤回を求める
2019.04.27
経団連が提出した原発運転期間の延長を求める
提言に抗議し、撤回を求める
兵庫県保険医協会
日本経済団体連合会(経団連)は4月8日、「日本を支える電力システムを再構築する」と題する新たな提言を発表し、原発の運転期間について、最長60年より伸ばすことや、停止期間を運転期間に含めないようにして事実上伸ばすことを求めている。この提言は「脱原発、再生可能エネルギーの拡大」を求めている多くの国民の民意に逆行し、原発依存社会への逆戻りとなる内容であり、断固抗議する。
原発の運転期間について、現在の運転期間は法律で40年間と定められており、例外として最大20年間の運転延長を1回に限り認めている。これ自体、安全性を置き去りにした危険な規定であるが、提言では米国で最大80年間まで延長申請した例を挙げ、60年以上に伸ばすことを求めている。また、原発が稼働していない期間は、運転期間から差し引くことも求めている。これは事実上運転期間の延長であり、原子炉の老朽化による安全性の低下につながり、国民の安全を軽視した主張である。
さらに、原発の建て替え・新増設まで盛り込まれており、これは安定処分できない危険な核廃棄物を生み出し続けることにつながり、われわれいのちと健康をまもる医療従事者として、到底容認することはできない。
また、提言は石炭火力などが電源構成の8割を超えていることを挙げ、「脱炭素化」を原発推進の口実にしているが、石炭火力発電の規制に後ろ向きなのは、産業界・経団連である。石炭火発の増設を進める一方で、脱炭素を口実に原発を増設するのはダブルスタンダードである。さらに再生可能エネルギーの普及にとっても、原発推進が重大な妨げとなっていることは、原発再稼働を進めた九州電力が太陽光発電などの「出力制御」を繰り返していることからも明らかである。
経団連には提言を撤回するよう求める。政府には原発依存の日本のエネルギー政策を転換し、再生可能エネルギー優先、原発ゼロへ舵を切るよう求める。