兵庫県保険医協会

広島高等裁判所　裁判長　森岳一殿

伊方原発運転差し止め仮処分決定を支持する

兵庫県保険医協会
第1106回理事会

　貴殿は1月17日、定期検査で停止中の四国電力伊方原発3号機の運転を差し止める仮処分を決定した。われわれは、いのちと健康を守る医療者として本仮処分決定を支持する。

　貴殿は、原発から約130キロの距離にある熊本県の阿蘇山の噴火リスクについて、「破局的噴火に至らない程度の最大規模の噴火」をも考慮すべきだと指摘し、その噴火による火山灰などの降下火砕物の噴出量についても、四電の想定は過小だと判断した。その上で、このような想定を前提にした設置許可申請と、それを前提にした規制委の判断は「不合理」だとし、「原発の立地に適さない」との結論を導き出している。

　また、同原発に対する地震のリスクについても、国内最大規模である「中央構造線断層帯」との関連性から、原発の敷地近くに活断層がある可能性は否定できず、四電の調査も不十分であると指摘した。

　本決定は地震、火山の両面で、規制委の審査と判断に重大な欠陥があることを示しており、「規制委が世界で最も厳しい新規制基準に適合すると認めた原発のみ再稼働させる」（安倍首相）とする政府の主張が成り立たないことを浮き彫りにしている。脱原発を求めるわれわれの運動の励みとなるものである。

　われわれは、国民のいのちを守るという立場に立った本決定が、日本、そして世界の脱原発の貴重な一歩となることを期待する。司法には今後も同様の立場から良識ある判断を求めるものである。