環境・公害対策部だより
市営住宅の解体工事で神戸市がアスベスト見落とし ずさんな事前調査が明らかに
2020.11.05
中央区にある市営住宅で神戸市が、危険性の高いアスベストの存在が疑われる箇所を見落としたまま解体工事を進めようとしていたことが10月13日、協会環境・公害対策部と市との懇談で明らかになった。協会は、ずさんな神戸市の対応に強く抗議し、本件に限らずすべての公営住宅の解体工事におけるアスベスト飛散防止策を徹底するよう求めている。
該当の市営住宅は、中央区の下山手4号棟で、アスベストが大量に使用されていた70年代に建設されている。市のアスベスト除去対応に不安を抱いた近隣の診療所からの訴えを受け、協会は春頃から同診療所とともに、神戸市にアスベスト飛散防止の徹底や濃度測定、住民説明会の開催などを求めてきた。
協会は、解体事業主である市の建築住宅局住宅建設課と10月13日に懇談。協会から武村義人・森岡芳雄両副理事長、上田進久評議員が、神戸市から建築住宅局住宅建設課の名倉正人課長と建築係の園部太貴氏、請負の春名建設株式会社と石綿除去業者のK&Sマテリアル株式会社の担当者が参加、神戸市議の松本則子議員と山本純二議員が同席した。
神戸市は、アスベストの事前調査の結果、建物に使用されているアスベストは飛散の可能性の低いレベル3のみで、飛散防止策を講じながら除去するとし、住民説明会を10月25日に開催すると説明。
協会が、情報公開請求により入手した市営住宅の設計図書をもとに、独自に調査を依頼したところ、電気室で最も危険性の高いレベル1のアスベスト使用疑いが指摘されていた。このため電気室の調査状況を質問したところ、神戸市は「調査していない」と回答。アスベスト含有の可能性の高い箇所を見落としたまま、工事を開始しようとしていたこととなる。
協会は強く抗議するとともに、再調査と住民説明会の延期を求めた。後日、名倉課長が協会を訪問し、不十分な調査を謝罪。住民説明会を延期し、事前調査をやり直し、再調査後に改めて説明するとした。