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抗議声明 神戸製鋼石炭火発増設 行政訴訟・大阪地裁判決に抗議する

2021.03.27

協会は3月27日、表記の声明を発表し、関係機関に送付した。

抗議声明

2021年3月27日

 

神戸製鋼石炭火発増設

行政訴訟・大阪地裁判決に抗議する

 

兵庫県保険医協会

第1130回理事会

 

 神戸製鋼所が神戸市灘区で建設を進める石炭火力発電所を巡り、周辺住民らが、同建設を認めた国の環境影響評価(環境アセスメント)の「確定通知」はCO2の排出やPM2.5の考慮が不十分で無効として取り消しを求めた行政訴訟の判決が3月15日に出され、大阪地裁は市民の訴えを退けた。

判決は発電所の稼働により相当量のPM2.5が生成されることが見込まれることは認めたものの、評価方法は確立しておらず今回の環境影響評価にPM2.5の評価を盛り込まなかったことは違法とはいえないと判断した。しかし、PM2.5は近年健康への影響が明らかとなっており、アメリカやイギリスではすでに環境影響評価の対象とされている。また環境影響評価にあたり、環境省が経産省の意見を聞いた結果、環境保全の観点から重要な記述が削除されたことは、環境影響評価制度の根幹を大きく歪めるものであるにもかかわらず趣旨に反するとはいえないとしたことは、まったくもって、許しがたい。

さらに、判決は住民側にCO2排出による被害について「個人的利益として自己の判断のみで追及すべき性質のものではない」と争う原告適格を認めなかった。地球温暖化による気候変動の影響が日本のみならず世界規模で起こり、菅首相が2050年に温室効果ガス排出実質ゼロを宣言するなど、温暖化対策の影響とその対策の重要性が明らかになっている。このようななかで、CO2排出対策は「火力発電所の無秩序な新設・増設計画を抑制することで対処するしかない」が現行法の範囲内でとりうる手段は限られていると現行法の限界を指摘するにとどまり、CO2の排出源に対する住民の訴えの権利すら認めなかったことは非常に残念である。

私たちは医師・歯科医師の団体として、健康被害や地球温暖化防止の観点から同訴訟を支援してきた。大気汚染による住民被害発生を放置し、地球温暖化対策に逆行する本判決に強く抗議するものである。

 

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