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抗議声明 菅首相は福島第一原発汚染水の海洋放出を決定しないことを求める

2021.04.12

 協会は4月10日、表記の声明を発表し、菅首相・梶山経産大臣ら関係機関に送付した。

2021年4月10日

抗議声明

 

菅首相は福島第一原発汚染水の

海洋放出を決定しないことを求める

 

兵庫県保険医協会

第1131回理事会

 

東京電力福島第一原発から発生している汚染水の処理について、菅首相が4月7日、全国漁業協同組合連合会の岸宏会長と面会し、海洋放出決定への理解を求めた。政府は13日にも関係閣僚会議を開いて海洋放出を正式決定すると報道されている。

しかし、海洋放出をめぐっては、これまでの説明公聴会や意見募集等で反対が続出している。東京新聞の報道によると、昨年行われた国民からの意見募集で寄せられた意見数は4011件で、処理水の安全性を問題視する内容が約2700件、「漁業者が反対している」「国民の合意が取れていない」など、決定までの経過を問題視する内容が400件あったという。これまでに原発周辺でのトリチウム排出影響について詳細な生物学的調査や健康影響調査は行われておらず、トリチウムの安全性は明確にはなっていない。世界各国の原発がトリチウムを排出しているからと言って、容認されるべきではない。また、現在タンクに保管されているALPS処理水の約7割は、処理が不十分でトリチウム以外の放射線物質が基準を超えて含まれているが、東京電力は、そのことをメディアで指摘されるまで積極的に説明していなかった。さらに同社は、先日柏崎刈羽原発で核物質防備の重大な不備が明らかになり原発稼働を担う適格性が原子力規制委員会から問われており、このような企業に汚染水処理を任せることはとてもできない。実害が風評被害に転化・矮小化されていく可能性がある。

菅首相が面会した全国漁業協同組合連合会も海洋放出に強く反対を表明している。福島の漁業は10年を経てもいまだに試験操業の状態であり、海洋放出が行われれば、これまでの漁業関係者の積み重ねてきた努力が無になりかねない。

政府はこれらの声を受け止めず、陸上での保管延長について保管場所の確保が困難であるかのような印象操作を行い、海洋放出の結論ありきで議論を進めているが、デブリの取り出しの目途が未だつかない現状においては、保管場所の確保はそれほど困難なものではない。

われわれは、いのちと健康をまもる医療者として、健康被害を軽視し、世界中に放射性物質をばらまく懸念のある汚染水の海洋放出の検討を白紙に戻し、再検討し直すことを政府・経済産業省に強く求める。

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