環境・公害対策部だより
声明 建設アスベスト訴訟最高裁判決を受けて すべてのアスベスト被害者の救済実現を
2021.06.12
協会は6月12日、表記の声明を発表し、関係機関に送付した。
2021年6月12日
声明
建設アスベスト訴訟最高裁判決を受けて
すべてのアスベスト被害者の救済実現を
兵庫県保険医協会
第1134回理事会
最高裁判所は5月17日、建設アスベスト裁判で、建設現場での一人親方を含む労働者に対する国と建材メーカーの責任を初めて認定した。この判決を受け、菅首相が原告団に直接謝罪し、未提訴や今後の被害者に対しても労働者・一人親方問わず給付金を支払う基金を作ることを約束した。
本判決が建設労働者のアスベスト被害に対する国の責任を確定させるとともに、労働ではないとして賠償がなされてこなかった一人親方に対する国の賠償責任を認めた点を高く評価する。判決はまた、建材メーカーの責任についても共同不法行為責任を認めているが、建材メーカーはいずれも和解には加わらず、原告団によると基金制度創設のために必要な資料提供にさえ後ろ向きであるという。建材メーカーが本判決を受け止め、和解に加わることを強く求めたい。一方で、本判決が、屋外作業者に対する国・企業の責任については、危険性の予知は困難として否定したことは到底容認できない。
発症までの期間が数十年と長いアスベスト被害はこれから増加することが予想されている。現在でも、老朽建物の改修や解体時、震災等により新たな曝露が発生しているが、建物解体時の石綿飛散の防止策や住民も含めた被害者の救済策は不十分である。
住民の命と健康を守る医師・歯科医師の立場から、われわれは、今回責任が認定された1975年から2004年の曝露、建設労働者にとどまらず、震災時を含むあらゆる建設・解体現場でのアスベスト曝露による、労働者・一人親方・住民等すべての被害者に対する検診・補償制度の構築および建物解体時の規制強化を強く求める。