環境・公害対策部だより
抗議声明 福島原発事故集団訴訟で国を免責した 不当判決に抗議する
2022.07.23
2022年7月23日
最高裁判所 菅野博之裁判長
福島原発事故集団訴訟で国を免責した
不当判決に抗議する
兵庫県保険医協会
第1156回理事会
東京電力福島第1原子力発電所事故に伴い避難を余儀なくされた福島県民ら約3700人が国と東電に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、貴殿は6月17日、国の賠償責任を認めない判決を下した。福島第一原発事故の国の責任についての初の最高裁判断となる。
今回の訴訟で原告は2002年に政府の地震調査研究推進本部が公表した「長期評価」に基づけば、巨大津波の襲来は予見でき、対策を東電に行わせなかった国にも責任があると追及していた。
この「長期評価」では、巨大津波を起こす地震が発生する可能性が示され、それを基に東電側は東日本大震災時の津波15.5メートルを超す15.7メートルの津波を想定していたが、何ら対策を取っていなかった。
今回の判決は、「長期評価」に基づき対策を行っていたかを評価せず、国が東電に想定津波に基づく防波堤を設置させたとしても「同様の事故が起きた可能性が相当にある」として国を免責した。最新の科学的知見を反映して規制権限を行使するという国の責務を否定したに等しい。「想定外」という言葉で責任を回避しようとする国に忖度した判決だと言わざるをえない。国策として推進されてきた原発によって生じた被害について国の責任を認めないとする判決は不当である。三浦守裁判官の反対意見を支持する。
われわれは、いのちと健康をまもる医療者として、今回の判決に強く抗議する。