環境・公害対策部だより
声明 福島第一原発事故について 旧経営陣の責任を認めた判決を支持する
2022.08.06
2022年8月6日
東京地方裁判所
朝倉佳秀裁判長
福島第一原発事故について
旧経営陣の責任を認めた判決を支持する
兵庫県保険医協会
環境・公害対策部長
森岡 芳雄
東京電力福島第1原子力発電所事故をめぐる株主代表訴訟で、貴殿は7月13日、旧経営陣4人の責任を認め、計13兆円余りの賠償を命じた。原告らの切実な願いに応えた画期的な判決であり、歓迎し、これを支持するものである。
今回の判決は、2002年に政府の地震調査研究推進本部が公表した「長期評価」に基づけば、経営陣は巨大津波の襲来は予見できたとし、安全対策を怠ったことについて「いかにできるだけ現状維持できるか、有識者の意見のうち都合の悪い部分を無視ないし顕在化しないようにするかということに腐心してきた」と、危険な原子力事業を担う企業の経営者としての姿勢として極めて無責任であると批判している。原発事故後も真相解明にも賠償にも真摯に向き合わない東電の無責任体質が端的に表されている。
ひとたび事故を起こせば甚大な被害をもたらす原発について、最新の科学的知見に基づき安全対策を徹底するのは当然である。「想定外」という言葉で逃げ続ける東電に対し、極めて大きい社会的責任が伴うことを示した判決だと言えるであろう。
われわれは、いのちと健康をまもる医療者として、今回の判決を強く支持するとともに、東電旧経営陣には控訴を取り下げ、賠償命令を履行するように求める。