環境・公害対策部だより
声明 反対多数の住民投票の結果を受け止め 産業廃棄物最終処分場の建設不許可の決断を
2022.08.06
兵庫県知事
斎藤元彦 殿
声明
反対多数の住民投票の結果を受け止め
産業廃棄物最終処分場の建設不許可の決断を
2022年8月6日
兵庫県保険医協会 環境・公害対策部
森岡芳雄
上郡町と赤穂市の市町境に建設されている産業廃棄物最終処分場の建設の賛否を問う、上郡町の住民投票が行われ、「反対」が有効投票数の79%にのぼった。
当該の最終処分場は管理型処分場であり、管理型処分場では廃棄物から発生する汚水を処理して放流することとなる。受け入れる予定の産業廃棄物には水銀やアスベストも含まれる。廃棄物から汚水が生じることを前提としたものだ。2018年に事業者が県に提出した事前協議書によると、産廃施設の排水は千種川水系の梨ヶ原川に放出するとされている。千種川の水は水道水や農業用水などに利用されるもので、環境への影響が懸念され、水害などの災害発生時の対策を含め、周辺住民から強い不安の声が出されていた。
事業者の東洋開発工業所(大阪府豊能町)は既に建設許可後大栄環境グループの100%子会社になることを明言しており、名義貸し疑惑が持ち上がっている中で建設を強行する姿勢を露わにしており、11日には赤穂民報の取材に「(有権者の53%が「反対」に投票したことについては)逆に言えば半数近い人は「反対」には投じなかったということ。今のところ事業を撤退する考えはなく、粛々と手続きを進めていきたい」と話している。建設許可後の周辺地域での中間処理施設建設の可能性も取りざたされており、既に町立の最終処分場を抱える上郡町の今回の処分場建設に関する住民投票の結果は、上郡町民として明確な「反対」の意思表明と捉えることができる。東洋開発工業所の民意を無視して強行しようとする態度は、決して容認されるべきものではない。
また、同じく立地自治体である赤穂市議会が2015年に「産業廃棄物最終処分場建設に反対する都市宣言」を全会一致で議決していることも無視できない。
われわれは、いのちと健康を守る医療者として、県に対して住民投票の結果を重く受け止め、地域住民の民意を尊重するとともに、「環境を優先する社会へ地域が先導し、"恵み豊かなふるさとひょうご"を次代につなぐ」とした第5次兵庫県環境基本計画の理念に則り、危険で環境を破壊する産廃施設の建設を許可しないことを強く求めるものである。