環境・公害対策部だより
抗議声明 東京電力福島第一原発汚染水海洋投棄工事に係る県知事らの「事前了解」に強く抗議する
2022.08.27
2022年8月27日
抗議声明
東京電力福島第一原発汚染水海洋投棄工事に係る県知事らの「事前了解」に強く抗議する
兵庫県保険医協会
第1157回理事会
福島県の内堀雅雄知事と吉田淳大熊町長、伊沢史朗双葉町長は8月2日、東京電力福島第一原発から発生している汚染水(ALPS汚染処理水)の海洋投棄をめぐって東電の本体工事計画を了解するとした回答書を提出した。福島の県民や漁業関係者、国民の多くが反対の声を上げる中での、この「工事計画事前了解」に強く抗議する。
これを受け、東京電力は8月4日に海洋投棄に必要な海底トンネルの本体工事に着工。来年春ごろには投棄を実施するとしている。
地元の漁業関係者は反対の姿勢を崩しておらず、福島県の内堀知事自身がこの計画について8月2日の東京電力との会談で「県民や国民の理解は十分に得られているとは言えない」と語っている。政府、東電はこれまでこの海洋投棄計画について、地元の合意がなければ遂行しないと約束してきた。多くの県民・漁業関係者が反対していることを承知の上で、首長の「了解」をもって地元合意を得たとして工事を推進することは決して許されるものではない。
われわれはこれまでも、現在タンクに保管されているALPS汚染処理水の約7割は、処理が不十分でトリチウム以外の放射線物質が基準を超えて含まれている汚染水であり、確実に再処理される保証がなく、トリチウム事態の安全性にも疑念がある中で、懸念されているのは風評被害ではなく、実害に他ならないこと、処理方法について、現状、地上での保管場所の確保も可能であることを示し、いのちと健康をまもる医療者として、本海洋放出計画に反対の意志を示してきた。
改めて、放射能汚染による健康被害を軽視し、世界中に放射性物質をばらまく懸念のある汚染処理水の海洋投棄への反対を表明するとともに県民・漁業関係者の反対を無視して工事着工を了解した地元首長に抗議し、東電への工事事前了解の撤回を求める。また、政府と東電に対し、汚染水海洋投棄計画を断念することを強く求める。