環境・公害対策部だより
声明 中国電力・上関原子力発電所の建設計画撤回を
2022.10.01
声明
中国電力・上関原子力発電所の建設計画撤回を
兵庫県保険医協会
環境・公害対策部長 森岡芳雄
上関原発の建設にむけ実施が強行されようとしているボーリング調査を巡り、中国電力が「上関原発を建てさせない祝島島民の会」に「妨害行為」の中止を求めて民事調停を申し立てたことが明らかになった。住民側は妨害ではないと主張している。
これは2009年、中国電力が計画に反対する同町祝島の住民たち4人を相手取って損害賠償を求めた訴訟で、今後妨害は行わないことなどを定めた2016年の和解に反するとしたものだ。
上関原発の建設計画は、福島第一原発事故後、着工していない初の原発新設計画となる。瀬戸内海に新たに上関原発ができれば、重大事故発生時には、瀬戸内海すべてが高濃度の放射能に汚染されることは明白であり、建設計画を中国電力は断念すべきである。
計画を巡っては、建設計画が明らかになった当初から、周辺の祝島住民をはじめとする多数の住民が反対し続けている。この住民の声を聞かず、建設計画を強行することが、このような住民との軋轢を引き起こし続けることは必至である。貴社はそれを避けるべきであり、そのためには計画を断念し、地域社会の信用を取り戻していくことの他にない。
福島原発の事故原因も、いまだに究明されてはいない。われわれは、いのちと健康をまもる医療者として、事故による放射能汚染の危険性を内包し、安定処分できない危険な核廃棄物を排出し続ける原子力発電所の新設、増設、再稼働を容認することはできない。
中国電力に対し上関原子力発電所の建設を中止することを求めるとともに、政府にはすべての原発を廃炉にし、再生可能エネルギーを基軸にしたエネルギー政策を積極的に推進する方向に政策転換することを求める。