環境・公害対策部だより
抗議声明 原発新設費用を電気料金として
消費者に負担させる制度の導入に反対する
2022.10.01
2022年10月1日
抗議声明
原発新設費用を電気料金として
消費者に負担させる制度の導入に反対する
兵庫県保険医協会
環境公害対策部長 森岡 芳雄
経済産業省は10月1日の審議会で「長期脱炭素電源オークション」の導入の方針を示した。対象は「発電・供給時に二酸化炭素(CO2)を排出しない」大規模な発電所で、新設する際に収入を保証するというものだ。支援に必要なお金は小売会社から集める想定で、小売会社に電気代を支払っている電気利用者がこれを支える構図となる。政府が新増設の方針を示した原子力発電所が実質的にその対象となることが指摘されている。
政府は原発の新設を「検討していない」としていた立場から政策転換し、新増設を検討することを表明している。政府・経済産業省は原発を脱炭素の切り札のように位置づけているが、原料のウランの採掘のみならず発電所の建設、運転に至るまでCO2を排出し続けており、決して「カーボンニュートラル」な発電方法ではない。そればかりか半永久的とも言える核燃料廃棄物も産出されつづけ、地球環境に極めて悪影響を及ぼしかねない危険性を多分に孕んでいる。
「原発ゼロ」を求める国民の意に反して原発稼働に固執し、エネルギー危機をことさらに煽り、不当に不適切な原発不可欠論を喧伝し、老朽原発の再稼働に止まらず、新増設まで目論むばかりか、その費用を消費者に負担させようとするのは、断固として受け入れられるものでない。
われわれはいのちと健康をまもる医療者として、危険で地球環境に有害な原発を「脱炭素」と位置づける欺瞞的な政策を転換することを求め、ましてやその新増設費用を電気利用者に押し付ける言語道断な制度の創設に反対する。