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抗議声明 福島原発事故集団訴訟で国を免責した神戸地裁の不当判決に抗議する

2024.04.06

協会は4月6日、正副理事長会にて、原発賠償ひょうご訴訟神戸地裁の不当判決に対する下記の抗議声明を確認し、関係機関に送付した。


抗議声明

2024年4月6日

神戸地方裁判所 龍見昇裁判長

福島原発事故集団訴訟で国を免責した神戸地裁の不当判決に抗議する

兵庫県保険医協会 環境・公害対策部長 森岡 芳雄


 福島原発事故によって兵庫県内への避難を余儀なくされた被害者30世帯78名が損害賠償を国及び東京電力に請求している訴訟について、貴殿は3月21日、東京電力のみに対して法的責任を認め、賠償を命じる判決を言い渡した。福島原発事故を発生させた国の責任については、「国が、適切な対策を講じるよう東京電力に義務づけたとしても、事故を避けられなかった可能性が高い」として、国の責任は認めなかった。
 本判決は東日本大震災の前に政府の地震調査研究推進本部が公表した「長期評価」の信用性を認めず、2022年6月17日の最高裁の不当判決を丸々コピーしたにすぎない不当判決である。
 「長期評価」では、巨大津波を起こす地震が発生する可能性が示されていたが、判決は、「長期評価」はすぐに津波対策を義務付けるほどの知見とは認められず、仮に国が東電に想定津波に基づく防波堤を設置させたとしても「津波で大量の海水が原発内に侵入することは避けられなかった可能性が高い」として国を免責した。最新の科学的知見を反映して規制権限を行使するという国の責務を否定したに等しく、「想定外」という言葉で責任を回避しようとする国に忖度した判決だと言わざるをえない。また、原告らが訴えてきた内部被曝の危険性についてもまともに評価しなかった。
 国策として推進されてきた原発によって生じた被害について国の責任を認めないとする判決は不当である。地震本部は、阪神・淡路大震災を機に発足した国の機関であり、政策に直結する地震の調査研究推進などを目的にし、本部長は文部科学大臣が務める。その評価が信用できないのなら、何を根拠に災害対策をすればいいのか。
 われわれは、いのちと健康をまもる医療者として、今回の判決に強く抗議する。

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