環境・公害対策部だより
抗議声明 老朽化した美浜原発3号機、高浜1~4号機の運転を認める不当判決に強く抗議する
2024.04.13
協会は4月13日、理事会にて下記の抗議声明を確認し、関係機関に送付した。
2024年4月6日
抗議声明
老朽化した美浜原発3号機、高浜1~4号機の運転を認める不当判決に強く抗議する
兵庫県保険医協会
環境・公害対策部長 森岡芳雄
関西電力美浜原発3号機と高浜1~4号機の運転差し止めを福井県などの住民がそれぞれ求めた2件の仮処分で、福井地裁は3月29日、いずれも差し止めを認めない決定を出した。加藤靖裁判所は「(原発事故の)具体的危険があると認めることができない」と判断した。
命と健康を守る医師・歯科医師の団体として、われわれはそもそも事故によっては甚大な被害を引き起こす可能性があり、稼働により発生する放射性廃棄物の処分方法も確立していない原発は、すべて廃炉にすべきであり、老朽原発の再稼働には特に安全性に重大な懸念があるとして繰り返し反対を表明してきた。
稼働40年を超える老朽原発では、照射脆化などで原子炉圧力容器をはじめとする構造体は確実に劣化しており、安全性は低下している。当初設計時の計画使用年限も過ぎている。原子炉格納容器内の構造物に関しては、詳細な評価は困難であり、更新も不可能である。昨年、60年超運転が可能になる法律が成立したが、今回の決定は事故発生時の被害の甚大性や施設の安全性に対する科学的に不十分な根拠について、正しく評価することなく、原発の最大限活用を掲げる国の方針を追認している。今年1月の能登半島地震では家屋の倒壊が相次ぎ、地震と原発事故による複合災害での避難計画が根底から破綻していることが明らかになり、避難計画が再稼働の条件になっていないことの問題点が明らかになったにもかかわらず、非常に無責任である。
「原子力発電所は原則40年で廃炉に」というのが、福島第一原発事故を受けて、民主・自民・公明の3党合意に基づいて決められたルールであり、この形骸化は大きな問題である。
我々は今回の不当な判決に強く抗議するとともに、関西電力に美浜原発3号機、高浜1~4号機の稼働を直ちに停止し、今すぐ廃炉方針を決定するよう強く求める。