環境・公害対策部だより
抗議声明 破綻している核燃料サイクル政策に固執する政府に方針転換を求める
2024.04.13
協会は4月13日、理事会にて下記の抗議声明を確認し、関係機関に送付した。
抗議声明
破綻している核燃料サイクル政策に固執する
政府に方針転換を求める
兵庫県保険医協会
環境・公害対策部長 森岡 芳雄
青森県むつ市で使用済み核燃料の中間貯蔵施設を運営する「リサイクル燃料貯蔵」(RFS)が事業開始を今年7~9月と示し、使用済み核燃料を入れる専用の容器(キャスク)を26年度までに計8基運び入れると説明したと報道されている。また、山口県上関町で昨年8月から中間貯蔵施設の建設計画が持ち上がっている。
使用済み核燃料から、プルトニウムを取り出し、再利用できるようにするという、日本政府が推進してきた「核燃料サイクル」は、取り出した燃料を使用するはずであった高速増殖炉「もんじゅ」で事故が相次ぎ廃炉が決定し、六ケ所村の再処理工場は2024年度上期とされていた完成時期の27回目の延期が、事故やトラブルの続発で確実である。使用済み核燃料の再処理により、より毒性の強い放射性廃棄物が何倍も生成されること、核兵器として利用し得るプルトニウムを大量に産出すること、耐用年数を過ぎれば再処理工場自身が放射能汚染された解体物として残ること、採算性も全くないこと、などからどう見ても「核燃料サイクル」に有用性・有益性は認められない。有害性のみである。
しかし、政府は、「核燃料サイクル」に固執し、「中間貯蔵施設」をつくり、危険な「プルサーマル発電」を2030年度までに12基に増やす目標を掲げており、次世代原発高速炉の研究についても米国との協力で進め、2040年代の運転をめざすとしている。
使用済み核燃料の再処理やプルサーマル発電の運用が、放射能汚染による多大な環境破壊と健康被害をもたらすことは明白である。事故発生時のリスクも膨大である。
われわれはいのちと健康をまもる医療者として、日本政府・電力会社に、原発ゼロのエネルギー政策に転換し、「核燃料サイクル」の実施を放棄をするよう強く求める。