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災害とアスベスト 阪神・淡路30年プロジェクト 今後の健康被害に対し検診が不可欠

2025.01.25

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 阪神・淡路大震災時に飛散したアスベストによる甚大な健康被害と今後の対策を考えようと、協会も参加する「災害とアスベスト-阪神淡路30年プロジェクト」は1月12日、中央区内でシンポジウムを開催した。研究者やNPO法人「ストップ・ザ・アスベスト」の上田進久医師(協会環境・公害対策部員)らが登壇し、150人が参加した。
 「阪神・淡路大震災におけるアスベスト飛散の実態」と題して講演した上田先生は、震災当時倒壊した建物には発がん性の強い青石綿や茶石綿が高濃度に吹き付けられていたが、解体時の飛散防止対策・環境防護対策は不十分だったと指摘。環境庁は当時、市内の「石綿濃度」を調査・公表しているが、「データは白石綿のみを測定しており、毒性の強い青石綿が含まれていない。リスクを過小評価している」と指摘した。
 阪神・淡路関連の石綿労災の認定が相次ぐ中で、上田氏は「被害者は水面下で拡大している。肺がん検診が不可欠である」と強調した。
 中地重晴氏(熊本学園大学教授)は、行政によるアスベスト対策が本格化したのは2005年のクボタショック後であり、阪神・淡路による健康被害はこれからであること、能登半島地震でも解体現場の飛散対策に課題があること等を指摘した。
 大阪市立大学名誉教授の宮本憲一先生は、欧米で危険性が明らかになり使用が激減する80年代にも日本はアスベストの使用を続けていたと、日本の石綿対策の問題点を指摘。国の災害対策におけるアスベストの位置づけの低さや、廃棄物処理で溶解処理量は10%に満たず、埋め立て処分による土壌汚染の可能性があると指摘した。
 阪神・淡路や東日本大震災の被災地で活動したボランティアにアンケート調査をした南慎二郎氏(立命館大学講師)からは、ボランティアのアスベストに関する危険性認識、被災地でのアスベスト対策の実行はまだまだ不十分であることが報告された。
 神戸大学の原口剛准教授は阪神淡路後のガレキ処理の労働者と生活者の実態を紹介。
 また、胸膜中皮腫患者の被災者や、アスベスト問題を調査する大学生からも発言があった。
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