国際部だより
映画紹介「牛久」
2022.04.05
映画紹介「牛久」
「おもてなし」の国、日本?
入管収容者が語るこの国の「偽りの共生」
国際部長 水間美宏
昨年、名古屋の入管に収容中のウィシュマさんが適切な医療を受けられずに亡くなりました。日本には名古屋のほか、大村(長崎)、牛久(茨城)などに外国人収容所があります。
昨年「やさしい日本語」でお世話になった順天堂大学大学院の武田裕子先生からこの映画を紹介されました。
先生の友人のトーマス・アッシュさんは、教会の友人に誘われ面会ボランティアとして「牛久」を訪れ、人権侵害の実態を知りました。そして目撃者にできることとしてドキュメンタリー映画「牛久」を作り、次のような生の声を伝えました。
「僕はまだ新米。入ってから2年しか経っていない。4、5年いる人が多い」「ここでは1人は死んだね。頭痛い、痛い、痛いと言って。先生たちはうるさいな、ちょっと痛み止め飲んだらいいと言ったら、朝には死んだ」「この人生いらない、毎日毎日同じ」
2019年に日本に保護を求めた1万5505人のうち難民と認定されたのは44人(0・3%)だけで、カナダ2万7168人(51%)、イギリス1万6516人(40%)などに比べ極端に低い数になっています。
難民認定されないと強制送還されたり入管に収容されたりしますが、2019年の収容者は全国で1253人、「牛久」の収容者は316人で6カ月以上が301人でした。
国会で法相は「送還を忌避するものが多数に上り、それに伴い入管収容施設の収容が長期化している」と答弁しましたが、「長期収容者の皆さんは帰らないのではなく帰れない人たちです。さまざまな迫害を受けるなどの理由で帰れない人」と反論されています。
映画で「口外しないように、殺されるんじゃないかと心配で」「でも人に知ってもらうために必要だと思う」「映画やるんだったら私の顔見せてね、もちろん名前も言ってね」と訴える人たちの声を聞いてほしいと願います。
関西での上映は、京都では終わりましたが、大阪の第七藝術劇場で4月2日から、神戸の元町映画館でも5月28日から予定されています。