政策宣伝広報委員会だより
2010年参議院選挙にあたっての開業保険医の重点要求(案)
2010.06.05
来るべき参議院選挙にあたり、地域医療崩壊を招き患者・国民に負担を強いる低医療費政策からの転換を強く求める。
政権交代による鳩山政権の発足から8カ月が経過した。政権与党3党が連立政権合意書でかかげた「医療費を先進国並みにする」との政策は、われわれ医療担当者に大きな期待を抱かせたが、今次診療報酬改定は、実質ゼロ改定で、医療改善にはほど遠い内容となった。しかも診療所と病院を対立させるような手法がとられ、「地域医療貢献加算」として診療所に24時間対応が求められたこと、歯科医療では重要な「スタディモデル」作製費を包括と称して削減したこと、そして明細書発行が義務化されたことなど、地域医療に新たな混乱が持ち込まれたことは、断じて許されない。
また、後期高齢者医療制度廃止も先延ばしされ、新制度案は現行制度の基本的な枠組みを継承したまま、対象者を65歳以上に拡大する大改悪案となっている。
われわれは、2200億円の社会保障費削減を中止したことについては高く評価している。しかし現在の鳩山内閣は、自・公政権の低医療費政策を転換するどころか、継承していると言わざるを得ない。鳩山内閣は、憲法25条に裏打ちされた国民皆保険制度を守り充実させるため、連立政権合意書や昨年の総選挙でのマニフェスト通りに総医療費を拡大し、同時に患者負担を軽減して、低医療費政策から転換の方向と展望を示すべきである。
われわれは、沖縄・普天間基地移設問題についても重大な関心をもっている。長年にわたる沖縄県民の苦しみに思いをよせれば、「国外・県外移転を」の願いは当然のものであり、鳩山内閣は沖縄県民の声を全国民の声として、アメリカと交渉すべきである。
われわれは、今回の参議院選挙にあたり、以下の開業保険医の要求実現を強く求めるものである。
1.低医療費政策を転換すること
(1)医療費の総枠を拡大し、診療報酬を緊急に再改定すること
(2)国民皆保険制度を揺るがす混合診療解禁ではなく、保険給付の範囲を拡大すること
(3)国と大企業の責任で、医療・社会保障給付の水準を他の先進国並みに引き上げること
(4)国民皆保険制度を守るため、高すぎる国保保険料を引き下げ、短期保険証や資格証明書の発行をやめること
(5)窓口負担を大幅に軽減し、まず子どもと高齢者は無料にすること
(6)保険でより良い歯科医療実現のため、歯科診療報酬を正当に引き上げ、保険給付の範囲を拡大すること
(7)後期高齢者医療制度をただちに廃止すること
(8)健診やワクチン接種など公衆衛生の充実を国の責任でおこなうこと
(9)医師、看護師、助産師などマンパワー不足を解決すること
(10)介護報酬を引き上げ、介護保険制度を改善すること
2. 消費税増税計画をやめ、大企業の内部留保を社会に還元すること
3.自主共済制度である休業保障制度を保険業法の適用除外とすること
4.平和憲法を守り、普天間基地の「国外移転」をアメリカに交渉すること