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県民の命が危険にさらされている 九条の会・兵庫県医師の会講演会 「憲法無視の日米地位協定」 元琉球新報論説委員 前泊博盛氏が講演

2014.03.05

日本は主権を取り戻し、外交力を発揮してアジアと友好関係を−−。九条の会・兵庫県医師の会は2月22日、協会などと共催で、講演会「知られていない米軍基地のこと 憲法無視の日米地位協定」を協会会議室で開催。沖縄国際大学大学院教授の前泊博盛氏が、日米安全保障条約の問題点や米軍基地を抱える沖縄の現状などを語り、会場いっぱいの会員・市民ら154人が聞き入った。
 
 前泊氏は、日米安保条約に基づき在日米軍の取り扱いを定める日米地位協定について、米軍施設・区域の使用には日本の法令が適用されない、環境基準がない、原状回復義務がない、低空飛行訓練が禁止されていないなどの問題点を列挙。さらに、密約により、地位協定で定められたことすら守られていないのが現状であるとして、日本は主権を行使できないアメリカの属国であるということを、日米地位協定自体が象徴しているとした。
 また、政府の言う「抑止力」のために沖縄に基地が必要という論理に対して、「軍事的に考えると沖縄は中国に近く有事の際には中国からの攻撃に耐えられない」と述べ、在沖米軍は抑止力として機能しないと解説。
 それでも沖縄に米軍基地が集中しているのは、森本敏元防衛相が「軍事的理由はないが、政治的理由から沖縄に置くしかない」と言ったように、米軍基地を本土に置けないからだと、「抑止力」論の欺瞞性を明らかにした。さらに、「抑止力」として機能しないどころか、米軍基地は、沖縄国際大学へのヘリ墜落事故など、県民を危険にさらしていると訴えた。
 また、経済的関係を深めることで域内紛争をなくしたEUに学び、アジア諸国との関係を強めAU(アジア連合)をつくるなど、日本は外交力を強化し発揮すべきであり、「九条は多角的安全保障として必要」だと強調した。
 前泊氏は、沖縄県の地方紙・琉球新報の元論説委員で、日米地位協定に関する国の機密文書をスクープした経験をもち、『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(「戦後再発見」双書2)などの著書がある。
 会の最後には中野圭子氏が、父親である全国保険医団体連合会初代会長・中野信夫氏の従軍記を再編集したブックレット『軍医殿!腹をやられました〜インパール作戦ビルマ敗走記』(かもがわ出版)の普及を呼びかけた。
 当日は、愛知、大阪からも役員が多数参加した。
 
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