兵庫県保険医協会

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「同一建物居住者」引き下げ撤回会員ファックス署名 "訪問診療続けられない" 切実な現場の声ぞくぞく

2014.05.15

協会が取り組む、「同一建物居住者に係る診療報酬の大幅引き下げについて撤回を求める」会員ファックス署名が、次々と協会事務所に寄せられ、4月24日、政府へ提出した(1面参照)。一言欄には、「このままでは訪問診療を続けられない」など、医科会員から怒りの声が寄せられている。歯科会員にも月間保団連5月号に署名用紙を同封し、協力を呼びかけている。まだの方はぜひご協力をお願いしたい。寄せられた声の一部を紹介する。

会員の一言

・アパートやマンション等の集合住宅で、同一建物であっても、階層も違う、それぞれ一軒一軒のご家庭に訪問しています。施設のような同じフロア内を移動しているわけではありません。別々のご家庭に訪問診療しており、きっちり診察しているのに、同一建物というだけで下げられるのは納得いきません。適正に医療を行っている医療機関の誠意を踏みにじるようなことはしないでください。

(尼崎市)


・一部の悪質な業者を取り締まるために、善意の諸医療機関を混乱に落とし入れる今回の改悪は、ぜひ直ちに中止していただきたい。

(東灘区)


・現場は大混乱しています。診療報酬の引き下げ中止お願いします。

(灘区)


・高齢者の増加、入院病床の削減と、今後ますます、在宅や施設で医療介護を要する人が増加すると思われます。在宅医療への移行を妨げかねない、今回の大幅引き下げはいかがなものでしょう。

(兵庫区)


・「在宅重視」を打ち出しながら、患者紹介ビジネス民間業者を「ダシ」にして医療費削減を試みることはフェアでない。

(明石市)


・厚生労働省は減額することばかり考えている。このまま続けて行くと、安かろう悪かろうになって、意欲を持って医療に打ち込もうとする医師も少なくなってくる。現在の医療がますます委縮して行き、結局は国民が困ることになることを理解できないのだろうか。日本の未来は明るくない。

(明石市)


・現在外来診療中心に診療している先生が在宅医療に取り組み始めるきっかけを失うのではないでしょうか。在宅医療推進の歯止めとなると思います。

(姫路市)


・もっと現場で頑張っている医療機関のことを考えて診療報酬を決定してくださいよ! 医療機関が算定し難い、ハードルの高い新設の診療報酬を考え直さないと、在宅医療そのものがつぶれますよ。

(神崎郡)

 

診療報酬改定怒りの声(1)
在医総管の4分の1への減算には承服しかねます
東灘区  神本 博勝

 在宅診療の実態としては、まだまだ往診、在宅に積極的な医師は少なく、数名の志のある医師たちによって地域での在宅医療が成立している状態です。
 当地方においては、人工島や坂の多い山の手への往診は、「遠い」「何かの時にはすぐに対応できない」との理由で、往診を拒否される例も見られます。結果として同一建物居住者を1人で診ることは少なくなく、今次改定で在宅時医学総合管理料の保険点数が4分の1に改定されたからといって、一度は生命を預かった医師として、今後の在宅診療を拒否できるわけもなく、一部の悪徳業者による性悪説によりモチベーションの低下を余儀なくされています。
 同一建物居住者を2人以上診察すれば、一件あたりの点数を漸減するというのであればまだ納得もできますが、2人目からは4分の1で、2人を在宅診療するのなら、2人の合計で1人の点数の半分というのは、あまりにも乱暴なやり方であると思います。
 また今後は「病院から在宅へ」の流れが進む中で、このような保険制度では在宅診療へ新規参入する医師も多く望めないのではと愚考します。
 ご配慮のほどをよろしくお願いします。

診療報酬改定怒りの声(2)
不条理な胃瘻制限
中央区  武村 義人

 今回の改定の特徴の一つに、理不尽な在宅医療点数の大幅引き下げがある。悪質業者に利することがないようにとのことで、「同一建物」が足かせとなる。まじめに診療に取り組む医療者側にとっても、また患者にとっても、不条理なことである。
 もう一点目立たないが気にかかる部分がある。それは「胃瘻造設術」に関してである。要約すると、一定の条件を満たさないと年間50例を超える場合、診療報酬が2割カットされる。一定の条件とは、造影または内視鏡による嚥下機能の検査を行うこと、1年以内の完全な経口摂取復帰が35%以上であることだ。
 「胃瘻」に関しては、生命倫理におけるさまざまな問題があることは周知のとおりである。食事介助の手間が不要と、胃瘻患者ばかりを収容していた施設もあると聞く。しかし嚥下機能の低下した患者の希望や、一日でも長生きしてほしいと望む家族、さらには安全に退院してもらおうとする医療者側にとっても、胃瘻は画期的技術だ。
 今回の改定は何を意味するのであろうか。中小病院では50例を超えないようにしようとする、いわゆる萎縮医療となるであろう。
 在宅医療にとって胃瘻は決定的に有利で、感染症や脱水症など、以前に栄養チューブで難儀された貴兄にはよくお分かりのことと思う。だとするならば、政府の考える方向は、再入院はさておき、在宅死の促進のように思える。在宅重視といいながら、診療報酬を削り、在宅療養を困難にし、生命を脅かす改定ではないか。

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