政策宣伝広報委員会だより
主張 「ストップ患者負担増」署名でさらなる医療改悪を阻止しよう
2014.09.25
政府が狙う、今後の医療改悪像が明らかになってきた。すでにこの6月、「医療・介護総合法」が強行可決された。社会保障について国民の「自助・自立」を第一とし、政府の責任を後退させた上で、来年度から都道府県に「地域医療ビジョン」を策定させ、病床数の削減や介護制度の利用制限を行わせる計画にしている。行き場のない高齢者たちが、医療難民・介護難民となることが予想される。
医療改悪計画は、それだけにとどまらない。来年度以降、検討されている患者負担増計画は、多岐にわたっている。大きく分けて(1)患者窓口負担増、(2)国保の改悪・保険料の引き上げ、(3)医療の営利化・混合診療の推進である。
患者負担増では、紹介状のない患者が大病院を受診した際の初診料を5千円〜1万円程度自己負担にしたり、入院給食費の自己負担額引き上げをねらう法案が、来年の国会に出されようとしている。
そのほか、高齢者の高額療養費上限額の引き上げや窓口負担のさらなる引き上げ、風邪薬や湿布薬などの保険外しなども検討されている。
国保の都道府県単位への広域化も、来年の国会で法案が計画されているものの一つである。都道府県単位に国保を再編し、医療費抑制競争をさせようとのねらいである。現在市町村で独自の努力をしている保険料減免制度は存続できなくなり、国保料の高騰が予想される。ただでさえ高すぎると批判される国保料を払えない国民がさらに増えることが予想される。保険証を交付されない、無保険患者の増大につながる。
医療の営利化も大問題である。「患者申出療養」と称する、混合診療の拡大が2016年度から実施されようと計画されている。十分な審査を経ない医薬品や治療技術が臨床の場に持ち込まれる一方、真に必要な医療が保険導入されない危険性がある。また、「ホールディング・カンパニー」と称する、営利資本の参入に道を開く枠組みの導入も、同時になされようとしている。
私たちは、このような医療改悪が実行されると、経済的理由による受診抑制をさらに推し進め、国民の健康破壊につながると考える。また、医療の営利化は「いつでも・どこでも・誰でも」安心して医療を受けることのできる公的医療、国民皆保険制度を崩壊させると考える。
兵庫協会や保団連は、この秋、「ストップ患者負担増」署名をはじめとする、大運動を計画している。すべての会員の力を結集して、医療改悪を阻止しよう。