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兵庫県「最終2カ年行革プラン」案を発表 「マル老」対象者4割削減へ 対象者8千人、1億4千万円カット

2016.12.15

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 兵庫県の「最終2カ年行革プラン」(企画部会案)の内容がこのほど明らかになった。県が福祉医療として行っている「老人医療費助成事業(「マル老」)」については、制度を廃止すると同時に、新制度を創設するとしている。しかし、その内容は対象を狭め対象者を2万人から8千人削減し、実に4割を対象外にするもので、事実上の老人医療費助成制度の大改悪である。

 県が明らかにした「老人医療費助成事業」の見直し案は、現行制度を廃止する一方で、「高齢期移行助成事業(仮称)」を創設するというもの。
 新制度は、対象者年齢、所得制限、一部負担金などについては現行制度とまったく同じ。違いは、対象者の条件として「低所得者Ⅰ」の場合に「就業が困難で所得のない者」を、「低所得者Ⅱ」の場合に「要介護認定2以上の者」という条件をそれぞれ追加したことだ(表)。これによって、対象者を2万人から8千人減らし、県費は5億6千万円(今年度予算)に対して1億3900万円を削減できるとしている。
 新制度とはいうものの、現行制度の対象条件を厳しくしただけで、県費1億4千万円の削減が目的であることは明らか。
条件に「就業困難」「要介護2以上」
 現行の所得制限基準「低所得者Ⅰ」は、「市町村民税非課税世帯で、世帯全員に所得なし(年金収入80万円以下かつ所得なし)」というもの。例えば年金収入60万円と、年額65万円以下の就労収入で生活している場合、給与所得控除65万円を差し引くと所得はマイナスになり、助成の対象になる。しかし改定案では、就業していることを理由に助成が受けられないことになる。わずかな収入でも、就労を理由に制度から排除しようというのである。
 「低所得者Ⅱ」の場合は、「市町村民税非課税世帯で、年金収入を加えた所得が80万円以下」というもの。前例よりも少し収入が多く、給与が年額75万円程度の場合、給与所得控除65万円を差し引くと所得が10万円になり、年金収入60万円とあわせても70万円で、80万円以下となり、現在は助成の対象になる。しかし、新制度は要介護状態という身体的条件を加え、就労収入の有無にかかわらず、要介護状態にない者を排除するというのである。まさに血も涙もない県政と言わざるを得ない。
 同制度は、井戸県政のもとで所得制限の強化が繰り返されてきた。井戸県政以前、2000年までの所得制限は本人所得約160万円とされており、20万人以上が受給していた。しかし、以後、5回にわたる所得制限の強化が行われ、現在の対象者はわずか2万人と、10分の1になっている。
 井戸敏三知事は、2005年の知事選挙で、「対象者率50%を堅持して全国一の医療費助成水準を確保します」と公約していた。09年の制度改悪時にも、協会は公約違反として抗議し、知事に質問状を届けたが、井戸知事は「回答いたしかねる」と、公約違反を認めたに等しい姿勢をとった。今回の廃止案は、あらためて知事の公約違反に対する姿勢が問われるものである。
 協会は、廃止案の撤回、現行制度の維持を求めて県政に働きかけていく。

表 新設する高齢期移行助成事業(仮称)
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