政策宣伝広報委員会だより
主張 市民生活を脅かす「共謀罪」法案提出を阻止しよう
2017.02.25
安倍政権は「特定秘密保護法」「国家安全保障会議」「武器輸出三原則見直し」に続き、内閣法制局長官交代後に集団的自衛権行使容認の「安全保障関連法」を可決成立。最近はデュアルユース(軍民両用)研究推進へと駒を進めている。
通信傍受法の適応範囲拡大やGPS利用捜査、マイナンバー制度の拡大、監視カメラの多さ、マスコミへの介入と報道自由度の低下などを考えると、情報収集、監視社会への道が強化され、国民の声が抑圧されるのは間違いない。
自民党の悲願は憲法改正であり、基本的思想は自民党の憲法改正草案に見て取れる。改憲の入り口は緊急事態条項である。国家権力を縛る憲法は甘く、国民を監視し取り締まる方向は粛々と強化する。そもそも善悪の判断が不能な戦争への準備である。
今国会で議論中の「テロ等準備罪」は、「共謀罪」という名称では3度廃案となったため、呼び名を変えてはいるが、本質は犯罪の「計画」だけで取り締まることであり、そのためには一般国民の情報(通信)の収集が必須となる。
戦前の治安維持法も「濫用されない完ぺきな法案」と説明されたが、その後の修正で拡大適応され、肥大化した特高警察は宗教団体、ジャーナリスト、企画院などの行政機関にまで法を適応した。
法務相は、「テロ等準備罪」で「犯罪の合意」を判断するのは、捜査段階では捜査機関だと認めた。警察の恣意的な捜査で、市民団体や労組、会社も監視対象になりかねない。
警察庁はその広報誌「焦点」で、市民運動を「テロの脅威」とみなして情報収集・監視の対象とし、反原発集会を「原子力施設に対するテロの脅威」として「警備対象」の一番に挙げている。石破茂氏は国会を取り巻く合法デモ集団を「テロと変わらない」と発言した。本音として抑圧したい対象は明らかである。
安倍首相はテロ対策を前面に押し出し、「テロ等準備罪」が必要な理由として、「爆弾や武器を持ち込んでハイジャックをして建物に突っ込む計画」の防止を挙げたが、それらは現行法で取り締まることができる。
首相は安全保障関連法でも、記者会見で米軍艦により日本の母子が輸送されるパネルを持ち出し、集団的自衛権の必要性を訴えたが、米艦防護に日本人の存否は無関係どころか、そもそも米軍艦に民間人は乗せないことまでも露呈した。
今回の法案も、政府が答弁にしどろもどろとなっており、「テロ対策」や「五輪の安全確保」などの文言は、本音を糊塗するための目くらましに思える。成案前の議論を封じたいのは、穴だらけの法案を提出後に一気に可決したいからなのか。
今の与党支持者も安心できない。この先政権交代があれば、これらの法律は下野した人たちに牙をむく。それが国家権力の性(さが)というものである。
法案の提出を阻止しよう。