兵庫県保険医協会

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2017年総選挙にあたっての開業保険医の重点要求(案) 2017年9月 兵庫県保険医協会

2017.09.25

 10月10日公示、10月22日投票の日程で行われるとされる総選挙に向けて、政策部でとりまとめた「2017年総選挙にあたっての開業保険医の重点要求(案)」を発表する。

 今次総選挙にあたり、私たち保険医は地域医療崩壊を招く患者負担増、社会保障費削減、医療への市場原理の持ち込み、社会保障を国民同士の助け合いに変質させることに反対し、社会保障の充実を強く求める。
 政府はこの間、国会の度に医療・社会保障制度の改悪を行ってきた。一つは患者・利用者負担増であり、第2次安倍政権発足以来、70歳から74歳の医療費窓口負担の引き上げ、高額療養費制度や高額サービス費制度の上限引き上げ、後期高齢者医療制度の保険料の特例軽減措置の廃止、入院時の光水熱費、食費の引き上げ、介護保険利用料の引き上げなど多岐に渡る患者・利用者負担を強行してきた。さらに、医療供給体制についても、地域医療構想による病床削減、国保の都道府県単位化など地域の実情を無視した再編を強行しつつある。また、2016年から3年間を「財政健全化計画の集中期間」として社会保障費の伸びを5000億円まで抑制する計画のもと、2016年度診療報酬改定では、実にマイナス1.43%となる診療報酬改定を行った。これらの度重なる制度改悪により地域の医療・介護現場は疲弊している。直ちにこうした改悪を止め、来る2018年度診療報酬改定、介護報酬改定では抜本的なプラス改定を求めたい。
 政府の経済政策は、大企業には史上空前の利益をもたらしたものの、度重なる社会保障負担増などにより多くの国民の可処分所得は減少し、貧困と格差の拡大をもたらした。
 また、政府・与党は今次総選挙の争点のひとつとして、憲法9条への自衛隊の明記を上げている。これは、一昨年の安保法に続き、日本をアメリカとともに世界中で戦争できる国とするものである。
 私たちは医師、歯科医師として国民の命と健康を危険にさらす、医療・社会保障制度の改悪に強く反対する。富裕層や大企業のみが恩恵を受ける経済政策ではなく、富裕層や大企業の応分の負担で税・保険料の累進性を高め医療・社会保障制度を充実させて、所得再分配機能を強化することにより、貧困と格差を縮小する政策への転換を求める。

個別要求

1、医療の改善要求
(1)地域の医療・介護ニーズにあった医療・介護提供体制を整備すること。
(2)医師不足を解消するとともに相次ぐ医師の過労死を防ぐため、医師、看護師などの養成数を増やすこと。
(3)患者負担増計画を撤回し、高齢者の医療費窓口負担割合をもとにもどすこと。こどもの医療費窓口負担は国の責任で中学3年生まで無料にし、高校3年生まで無料をめざすこと。
(4)診療報酬本体部分を10%以上引き上げること。
(5)歯科医療危機の打開にふさわしい歯科診療報酬の大幅引き上げ、保険範囲の拡充、歯科技工士の労働環境の改善を行うこと。
(6)混合診療の全面解禁や株式会社による医療機関運営など医療分野での規制緩和を行わないこと。
(7)強引な国保の都道府県単位化を止め、国庫負担の引き上げで国保保険料を引き下げること。また、短期保険証や資格証明書の発行をやめること。学資保険などの差し押さえを行わないこと。
(8)日本の国民皆保険制度を形骸化させる日米FTA交渉を行わないこと。
(9)介護保険制度を抜本的に見直すこと。a.必要なサービスが受けられるよう認定方式を改めること。b.保険料を応能負担にあらためること。c.利用者負担を引き下げること。
(10)医療の公益性を守る事業税非課税措置と4段階税制を存続させること。
2、震災復興を求める要求
(1)熊本地震被災者の医療費一部負担金免除措置の対象者と期間を拡大し、全被災医療機関の再建に公的支援を行うこと。
(2)東日本大震災の医療費一部負担金免除措置を、復興が完了するまで再実施し、全被災医療機関の再建に公的支援を行うこと。
(3)被災地復興に直接関係のない事業に復興予算を流用するのをやめ、被災者の生活再建に真に役立つ予算執行を行うこと。
(4)災害援護資金の返済免除要件を緩和すること。
3、財政構造の転換を求める要求
(1)消費税の10%への増税をやめ、医療機関の控除対象外消費税をゼロ税率導入により解決すること。
(2)無駄な大型公共事業や不必要な防衛予算など、税金の使い方を見直し、社会保障への公費負担を拡充すること。
(3)空前の利益を上げ、内部留保を積み増ししている大企業に、安定的雇用の拡大、賃金の引き上げを求め、社会保険料収入を確保すること。
(4)大企業や富裕層向けの優遇税制をあらため、法人税や所得税率を引き上げ、社会保障の財源を確保すること。タックスヘイブンなどにより税金逃れを行っている企業や富裕層に追徴的に課税すること。
4、環境・公害に関わる要求
(1)稼働中の原発を停止し、すべての原発の再稼働、新増設、輸出を止め、全原発の廃炉を決断すること。
(2)原子力規制委員会を透明かつ公正・民主的な機関として確立すること。
(3)脱原発・脱石炭・再生可能エネルギー中心の政策に転換すること。
(4)アスベスト健康被害に関する国の責任を認め、被害実態の正確な調査・把握、充分な補償を行うこと。
(5)震災時をはじめとする建物解体に伴うアスベスト飛散を防止するため、実効性のある予防策を行うこと。
5、反核・平和と国民主権を強化・充実する要求
(1)安全保障関連法を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を取り消すこと。
(2)憲法を守り、憲法どおりの国づくりをめざすこと。
(3)沖縄・普天間基地を無条件撤去し、辺野古への新基地建設を行わないこと。
(4)唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約を批准するとともに条約に参加をしない核保有国などに批准を求めること。
以上

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