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主張 臨時国会を振り返って 問答無用で押し切る強権ぶりが際立つ

2018.12.15

 第197回臨時国会が10日、閉幕した。まともな資料も示さないままの出入国管理法改定案の強行や、憲法審査会を与野党の合意なしに一方的に開催するなど、政府与党の国会審議のルールをないがしろにした暴走が随所に見られた。国民を愚弄するものであり看過できない。
 私たちは、このような形骸化した国会運営のもとで、十分な審議なしに多数の重要法案が強行可決されたことに抗議する。また「成立」した法が国民生活に重大な影響をもたらすことを避けるよう、慎重な運用を強く求める。
 外国人労働者受け入れを拡大する改定出入国管理法の審議では、あらためて、外国人労働者の劣悪な労働実態が明らかになった。政府が失踪した外国人技能実習生を「一部の問題」としてまともに答弁しない中、野党が共同して調査票を分析し、その67%が最低賃金未満で、10%が過労死水準で働かされていたことが判明した。このような異常な人権侵害を放置した上での受け入れ拡大は、断じて許されない。
 とりわけ、外国人労働者の受け入れ先の一つに「介護」があげられていることに危惧を覚える。介護の質の向上には、日本人、外国人を問わず、介護報酬の大幅引き上げと、介護労働者の労働条件の抜本的改善が必要である。社会保障の切り捨て政策と結びついた、使い捨ての労働力としての外国人労働者受け入れ拡大には、断固反対する。
 それ以外にも、農漁業に大きな打撃を与える、日欧EPA(経済連携協定)や漁業法改定、水道の民営化拡大に道を開く水道法改定などが強行された。いずれも、国民の健康に直結する重要問題である。
 臨時国会を振り返ると、安倍内閣の、問答無用で押し切る強権ぶりが際立つ、異常な国会と言わざるを得ない。同様の強権ぶりは、沖縄の辺野古米軍基地建設問題にも見られる。沖縄県の反対を押し切って14日より土砂を投入する予定である。国民の懸念や反対意見に真剣に向き合い、徹底審議を尽くすべきである。数の力が絶対では、民主主義が死んでしまう。

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