兵庫県保険医協会

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「こども医療費助成と福祉医療」調査結果 「高3まで助成」10市町に

2019.07.25

 協会は、毎年実施している県下全市町に対する福祉医療制度調査の2019年度分の結果をまとめた。「こども医療費助成」について、中学3年生を超えて高校3年生まで助成する市町は1市2町(宍粟市、市川町、福崎町)増えて10市町に拡大した。結果をまとめたパンフレット、ポスターは8月初旬に完成する予定。医療機関の待合室に置き、患者さんに広めていただくなど、活用いただきたい。

 福祉医療制度は、地方自治体が住民の健康保持・増進のため、子どもや母子家庭、重度障害者、高齢者など社会的、経済的に弱い立場にある患者の医療費窓口負担を独自に軽減する助成制度。兵庫県の制度と、市町の制度がある。兵庫県の制度は全県共通で利用でき、その上乗せとして各市町の制度が利用できる。

乳幼児・こども
1市2町で高3までに拡充
 乳幼児・こども医療費助成制度は、通院・入院とも受診時窓口負担を「中3まで無料」としている市町は41市町中36市町(県下自治体の88%)と前年度と変わらなかったが、中学3年生を超えて18歳までを対象に助成する市町は、1市2町(宍粟市、市川町、福崎町)が増え、10市町となった。
 特に2市2町(宍粟市、小野市、神河町、香美町)では入院・通院とも無料となっている(表)。
 
母子家庭等・一人親世帯
 「母子家庭等・一人親世帯医療費助成制度」では、新たに宍粟市が18歳以下の児童について入院・通院ともに無料となった。
 
重度障害者
 重度障害者医療助成制度では、兵庫県は、70~74歳の高齢重度障害者について、これまでの償還払い制度を、今年度から現物給付とし、医療を受けやすくなった。
 川西市は従来の入院のみから、通院も自己負担額の3分の1を助成するよう拡充した。宍粟市は、18歳以下の場合は、入院・通院ともに窓口負担が無料となった。
 
高齢期移行者
 高齢期移行者医療費助成制度は、65~69歳で廃止された老人医療費助成制度の対象者に限り、70歳になるまで旧制度上の助成が受けられる。西宮市・高砂市の特例措置は、期間が終了したため、撤廃された。
住民の声が自治体動かす
 市町における福祉医療の拡充は、協会も参加する兵庫県社会保障推進協議会が毎年行っている自治体との懇談や、地域住民の運動などの成果である。
 全国で最初の福祉医療制度は、1960年に岩手県沢内村での65歳以上の老人医療費無料化。兵庫県では71年から、75歳以上の「居宅寝たきり老人」を対象に開始され、72年には70歳以上の老人と65歳~69歳の重度身障者(1~2級)に対象が拡大。73年には重度障害者、乳児を対象とした制度を創設。79年には母子家庭等の助成制度が開始された。
 このように70年代以降、福祉医療の拡充が進んだが、井戸県政下でマル老廃止などの制度改悪や福祉医療予算の縮小が行われている。県の動向に対して、市町が一定の歯止めをかけ、福祉医療を高校3年生世代にまで対象を拡充させていることは、地方自治、住民自治の成果である。
 しかし、三田市が昨年こども医療費助成に所得制限を設けるなど、一部の自治体での制度の縮小には注意が必要である。協会は、今後もお金の心配なく医療にかかれる社会の実現を求め、福祉医療の拡充を求める運動を展開していく。

 ※正会員には、完成し次第、月刊保団連にパンフレットとポスターを同封してお届けする。パンフレット・ポスターは無料で、追加注文も受け付けています。ご注文・お問い合わせは、電話078-393-1807まで

表 18歳まで助成する自治体
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県下36市町で中3までのこども医療費が無料となっている
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