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主張 75歳以上の患者窓口負担増計画反対 計画阻止へ署名運動に今一度取り組もう

2020.12.15

 政府の〝窓口負担の公平化〟と称して75歳以上の窓口負担を倍増する検討が、大詰めを迎えている。対象とする所得について、与党内での調整の結果、12月9日、自民・公明両党は、単身で年収200万円以上の約370万人を対象とすることで合意した。
 菅首相や与党は負担増の理由付けとして、現状の窓口負担割合を取り上げ、現役世代よりも高齢者の負担割合が低い「不公平」を是正すること、高齢者の医療費負担によって、若者や現役世代の保険料負担が重くなるのを防ぐためとしている。
 しかし、高齢者は現役世代に比べて抱える疾患が多いため、窓口負担割合が低くとも、負担額では現役世代を大きく上回っており、これ以上の負担増は、むしろ不公平をよりいっそう拡大するものである。
 保険料負担についても、被保険者負担のほかに事業主負担があることを忘れてはならない。保険料引き上げを検討するのであれば、世界的に見て低い日本の保険料事業主負担を、大企業を中心に引き上げるのが先決であろう。
 政府は、社会保障を切り捨てる理由として、高医療費によって国の存続が危ぶまれるという〝医療費亡国論〟を振りかざしている。しかし、OECD各国の対GDP社会支出を比べると、日本の社会保障費は、高齢化率を加味すると平均値よりも低く抑えられているのが現実である。これは、〝税と社会保障の一体改革〟などのこれまでの新自由主義政策によって、日本の社会保障が削られていったためである。加えて、ヨーロッパ各国では、OECD平均以上の社会保障を提供しても、ほとんどの国で順調に経済成長しており、政府が言う、〝医療費亡国論〟の誤りは明らかである。
 そもそも税収が不足すると言うのであれば、まず、これまで下げに下げてきた法人税率や所得税最高税率を段階的に元に戻すなど、〝税の公平化〟をもって、超高齢社会の社会保障に必要な税収を確保するべきである。
 国の基礎は国民である。国民が生活に安心を覚えてこそ、暮らしも豊かになり、経済成長への道も開ける。今こそ、政府は社会保障拡充へ舵を切るべきである。
 兵庫県保険医協会は、これまで患者負担増計画中止を求める署名運動に取り組み、今年は2万筆近い署名を国会へ提出した。検討中の負担増計画は、来年の通常国会で法案提出がなされる見通しである。今一度「ストップ!負担増」署名運動に取り組み、社会保障をないがしろにする75歳以上の高齢者への負担増計画を国民に知らせ、患者・介護にかかわる方々と一丸となってこの計画を中止に追い込もう。
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