政策宣伝広報委員会だより
会員意見実態調査(1) 2紙で報道 医療機関の継承予定3割が「閉院」
2021.01.25
自身の医療機関の将来について「不安」が半数--。協会が昨年7月に実施した2020年会員意見実態調査結果で、地域医療を担う開業医の将来展望について、約半数が不安を抱いていることなどが明らかとなった。低診療報酬に加え、新型コロナ禍の影響が現れていると考えられる。本結果について神戸新聞としんぶん赤旗が報道した。今号から分野別に順次、調査結果を紹介する。
(結果の概要はこちら)
自分の医療機関の将来半数が「不安」
会員意見実態調査は、1988年より2年に1度、診療報酬改定の年に、会員の意見を広く把握し、協会活動に生かすために、医療・社会保障から政治・経済に至るまで、情勢に応じた質問で調査を行っている。
調査で「自分の医療機関の将来展望」について聞いたところ、「不安がある」が49.5%と約半数を占め、「分からない」が28.8%、「大丈夫」が15.8%となった(図1)。「不安がある」の割合は2年前の44.2%から5ポイント上昇しており、新型コロナ感染拡大が強く影響したと考えられる。
医科・歯科別では、「不安がある」と回答した比率が医科は47.0%に対し、歯科は55.4%と歯科の方が高く、低診療報酬と深刻な受診抑制が続く歯科会員に医療機関の不安が強いことがうかがわれる。
会員意見実態調査結果(1)「開業医の将来展望」
「明るい」わずか2.5%
「開業医一般の将来展望」については、「暗い」が46.8%、「どちらともいえない」が45.5%を占め、「明るい」はわずか2.5%だった。この項目でも前回調査から「暗い」が9ポイント高くなり、「明るい」が5ポイント低くなっており(図2)、新型コロナ禍により将来を悲観する会員が増加していることがうかがわれる。
継承予定「閉院」3割地域医療の空白懸念
「自分の医療機関の継承について」は、「閉院する予定」が31.0%と最も多く、「親族に継承する予定」が30.8%、「親族以外の第三者に継承する予定」が11.0%、「他の医療機関等へ事業売却する予定」が7.0%と続く(図3)。
年齢別に見ると70歳以上で「閉院する予定」の比率が医科で4割、歯科で7割近くにのぼり、開業医の多くが、継承先がないまま閉院する現状が読み取れ、地域医療の空白が懸念される。
対 象:兵庫県保険医協会会員から2割を無作為抽出
医科 769件 回収279件(36.3%)
歯科 388件 回収121件(31.2%)
合計 1157件 回収400件(34.6%)
実施時期:2020年7月6日~7月17日
図1 自分の医療機関の将来展望
図2 開業医一般の将来展望
図3 自分の医療機関の継承