政策宣伝広報委員会だより
第4回新型コロナウイルス感染症関連緊急アンケート結果 財政補償と検査・接種体制拡充を
2021.02.25
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う医療提供体制の逼迫のもと、罰則を伴う「改正特別措置法」と「改正感染症法」が成立したことや、ワクチン接種の開始決定により接種体制の整備が急がれていることを受け、協会は会員医療機関を対象に1月25日から2月8日にかけて新型コロナウイルスの感染拡大に伴う第4回緊急アンケートを実施。695件の回答を得た。2月10日には、結果についてマスコミ報告会を開催。関西テレビ、神戸新聞、しんぶん赤旗が参加した。
このアンケートは、民間医療機関での新型コロナ疑い患者受け入れや、ワクチン接種の体制整備について把握し、医療現場で求められている施策等を明らかにするために実施したもの。
2月10日のマスコミ報告会では、西山裕康理事長が結果について報告。昨年4月より回復したものの、第3波による受診抑制と収支悪化が続いている現状を報告。希望する政策として、「助成金・給付金などの拡充」「診療報酬の引き上げ」「昨年度診療報酬請求実績に基づく減収補填」など、いずれも医院経営の保障を求める項目が上位であったとし、現状のままでは医療提供体制の悪化がさらに進行する恐れがあると警鐘を鳴らした。
感染対策としては、「早期のワクチン接種」が6割を越えたが、一方で半数近くの会員が「免疫の持続性」「中長期的有害事象」などが疑問とするなど、既存のワクチンに比べて医学的効果や副作用を懸念する医師・歯科医師が多いと説明した。以下にアンケートの詳細を紹介する。
受診抑制は依然深刻
7割の医療機関「患者減」
12月の患者数(レセプト件数)の1年前からの変化について、「減った」との回答は、病院が73.3%、医科診療所が69.2%、歯科診療所61.1%にのぼるなど、4月時点よりは改善したものの依然として厳しい受診抑制が起こっている現状が明らかとなった。
政府に希望する政策については、「助成金・給付金などの拡充」が56.0%、診療報酬の引き上げが54.1%と半数を超え、「昨年度診療報酬請求実績に基づく減収補填」が32.9%で続いた(図1)。財政的補償を求める意見の大きさが浮き彫りになった。
診療・検査医療機関については、指定を受けた医療機関は診療所の28.2%であったが、指定を受けていない医療機関でも発熱患者の診療を54.5%が、電話対応を54.8%が行うなど、地域住民の要請に応えて必要な対応を実施していることが確認された。
入院拒否に罰則「反対」4割
入院を拒否した感染者に「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」を科す改正感染症法については、「賛成」は17.0%にとどまり、「反対」は40.7%と多数となった。
「早期の接種を」6割
新型コロナウイルス感染症対策として有効なものについては、「早期のワクチン接種」61.0%、「出入国の制限強化」57.1%、「補償とあわせた営業自粛要請」45.9%、「PCR検査の抜本的拡充」43.7%と続いた。一方で「緊急事態宣言発出時の罰則強化」は15.4%、「中小・民間病院でのコロナ病床の確保」は24.0%と少数にとどまった(図2)。
ワクチンの疑問や問題点と思われるものについては、「免疫の持続」55.6%、「中長期的有害事象」54.4%、「不十分な臨床」44.4%となるなど、新規のワクチンに対する健康への影響の懸念を表す結果となった。一方で、「重症化予防効果」を疑問視するのは22.5%にとどまり、効果についての疑いは低い結果となった(図3)。
現時点で「接種を勧奨すべきと思われる人」については、「医療従事者」が82.1%、「高齢者」72.6%、「基礎疾患を有する人」71.5%と、感染や重症化のリスクが高い人に優先的に接種すべきとの意見が非常に多い一方で、現役世代とされる「15~64歳の人」は19.6%にとどまった。
協会は、これからも引き続き医療機関の深刻な経営悪化に対する十分な減収補填、財政的補償を求めるとともに、感染症対策として、PCR検査の拡充とワクチンの接種体制の具体化を求めていく。
図1 受診抑制や収支悪化に対して希望する政策(複数回答可)
図2 新型コロナウイルス感染症対策として有効だと思われるもの(複数回答可)
図3 ワクチンの疑問や問題点と思われるもの(複数回答可)