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済生会兵庫県病院と三田市民病院 再編統合へ議論開始 地域住民が講演会&報告集会

2021.07.15

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公的・公立病院の役割の重要性を語る藤末先生

 神戸市と三田市は「第1回北神・三田地域の急性期医療の確保に関する検討会」を6月4日に開催し、北区の済生会兵庫県病院と三田市民病院のあり方と再編統合へ向けた議論を開始した。これを受け、地域住民らでつくる「済生会兵庫県病院の存続・充実を求める会」と「三田市民病院をまもる会」は6月27日、北区内で講演会&報告集会を開催。北区・三田市・西宮市などから市民ら約100人が参加した。
 藤末衛先生(神戸健康共和会理事長、兵庫県保険医協会副議長)が「コロナ禍と公立・公的病院の役割」をテーマに講演。藤末先生は、今回の新型コロナのパンデミックの教訓から病院の役割を見ることが重要と強調。コロナ禍は、経済格差や健康格差などの社会的な格差と、政府の医療費抑制政策の問題点を顕在化させたとした。
 そして、第4波では、医療崩壊が各地で起こったと紹介。新型コロナは感染力が非常に強く、無症状感染もある上、発症スピードに差があり、最初の発症からの対応スピードが重要だと語った。そして医療崩壊を防ぐには、事実を科学的に捉える為政者の構えとともに、地域医療構想の見直しや医師・看護師・保健師の増員、公衆衛生と地域医療の臨時的な一体的システムの確立などが必要とした。
 そして、公立・公的病院は不採算で民間が担うことが難しい医療を担うのが役割だが、医療費抑制を目的とする政府のもと、病床削減・効率化一辺倒で医療供給体制の政策が進められており、その中でも、兵庫県は特に政府の方針に忠実に従い、病院の統廃合が進められていると紹介。その結果として、クラスター化すると広域にわたり医療機能の低下を招くこと、災害などの医療需要急増時の脆弱性がコロナ禍で明らかになったことに加え、患者からの近接性が失われ健康格差が生まれることなどがあるとした。
 住民運動の方向性として、対象となっている病院を励まし、利便性だけでなくより充実した地域医療のための政策、コロナの総括を受けてどれくらいの病床や医療ニーズが必要なのかを行政に問うていくことが一番大事であり、根本的な医師・看護師確保の運動もあわせて行うことが重要との考えを示した。また、済生会兵庫県病院が行っている無料定額診療は、健康格差を助長しないための担保であり、この維持が重要とした。
 兵庫の地域医療を守る会の今西清氏が、第1回検討委員会の内容を報告。両病院から経営が苦しいこと、医師確保が難しいことの報告があり、400床規模の病院が必要との議論があったこと、来年3月には報告書案をまとめる予定であることを紹介。重要なのは、市民の声をしっかり聴くこと、新型コロナで果たした両病院の役割も検証し、地域に必要な医療を提供できる医療提供体制の在り方を科学的に調査し、民主的な報告書の作成であるとした。
 参加者からは「検討委員会はあまりに唐突。済生会病院では現在、再編統合は遠い将来のことと張り紙がされている」「市民病院がなくなることを非常に心配している」との声や、西宮市民からは「西宮北部の市民にとっても両病院は重要であり、協議に西宮市も参加すべき。現在、市議会に陳情を提出している」との発言もあった。
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