政策宣伝広報委員会だより
コロナ禍に対応できる医療提供体制へ 診療報酬の大幅アップを FAX・オンラインで署名450筆
2021.11.05
コロナ禍で露呈した医療提供体制の脆弱性を克服するため診療報酬の大幅引き上げを−−。2022年度診療報酬改定に向け、協会は「医療提供体制を立て直すため診療報酬の大幅プラス改定等を求める医師・歯科医師要請署名」に取り組んでいる。10月上旬に署名用紙をFAXで医療機関に送信。診療報酬引き上げを求める会員の声とともに署名が寄せられ、11月1日までに450筆が集まっている。
1年半にわたる新型コロナウイルス感染症の蔓延は、医療機関に、受診抑制に伴う減収と感染対策費用の増加による経営危機をもたらした。
これまでの度重なる診療報酬のマイナス改定は、医療機関から経営体力を奪ってきたが、新型コロナ禍による受診抑制は、さらに医療機関の経営を危うくした。実際、厚生労働省によれば20年度の概算医療費は19年度に比較して1.4兆円もマイナスとなっている。
政府は各医療機関に感染対策費用を補填する「外来等感染症対策実施加算」をすでに廃止。さらに診療報酬改定を前に、「病院が補助金を受け取ったにもかかわらず十分に新型コロナ患者を受け入れなかった」、「補助金により黒字幅が増加した」などと、医療機関へのバッシングを強めている。
だが実情は、用意できたのが中等症用の病床のため重症者を受け入れられなかった、病床は確保していたものの医療スタッフの不足から感染者の受け入れができなかった等の事例で明らかなように、医療費や医師・看護師養成数の抑制が問題の原因である。黒字幅の増加についても、財務省の資料によれば、平時から病院の平均利益率は0.2%しかない。補助金により利益率が6%台に増加したと問題視しているが、それでも他の業種に比較して著しく低く、依然として厳しい経営実態に変わりはない。これらの問題の根本解決には、医師・看護師抑制策の抜本的転換と診療報酬の大幅引き上げが不可欠である。
一方で、多くの国民の暮らしもコロナ禍で困窮している。診療報酬の引き上げは、患者さんの窓口負担の増加にもつながるため、署名では患者窓口負担を軽減することも求めている。そもそも政府は今年の通常国会で、後期高齢者の医療費窓口負担をこれまでの原則1割から2割への引き上げを決めた。コロナ禍で深刻化する受診抑制に拍車をかけるもので、国民の健康と命を危機に晒すものである。
すでに来年の診療報酬に関する議論は始まっている。来年度予算が固まるまでに残された時間はわずかである。
協会では今月中に、国会議員に直接署名を手渡し、会員の声を伝える要請行動を予定している。それまでに一人でも多くの会員の声を集めて提出することが、政府の医療費抑制政策に対抗する何よりも大きな力となる。
以下に署名に寄せられた声を紹介する。
署名に寄せられた声
・受診の抑制で、毎月の医業収入が100〜200万円ダウンしています。スタッフへのボーナスも減らしていますがそろそろ限界です。補助金でマイナス補填などもしっかりやってほしいです
(宍粟市・歯科)
・医療費削減により、われわれは危険水域に漂う船のようです。根本的に医療経済政策を見直すべし
(灘区)
・感染対策には人手がかかるのに、物的保障だけで、人的保障や人件費が考慮されていない
(東灘区)
・長期にわたり減収が続いております
(明石市)
署名まだの方はご協力を
まだ署名をされていない方は、今号に同封している署名用紙(右)にご署名の上、FAX078-393−1802へ返信をお願いしたい。また、署名はオンラインでも受け付けている。QRコードよりぜひご協力いただきたい。