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談話 2022年参議院選挙について
政策部長 加藤 擁一

2022.08.05

2013_09.jpg 7月10日投開票で参議院選挙が行われた。
 投票に先立つ7月8日、安倍晋三元首相が、街頭宣伝中に銃撃され、死亡するという事件が起きた。殺人は許されない犯罪である。与党は安倍元首相の死を「民主主義に対する挑戦」であるとして、得票の上積みを狙ったが、捜査が進むにつれ犯行の動機は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と深い関係を持つ安倍元首相への私怨だと明らかになった。政府与党が今回の事件を機に、要人警護等を口実に、政府与党に対して批判的な個人や団体、政党の政治活動や選挙活動を今後、制限するために治安立法を強化することは許されない。むしろ、政治家と統一教会の不適切な関係を明らかにするとともに、安倍政権下での森友・加計問題、桜を見る会問題の真相解明こそ求められている。
 選挙の結果は、自民党の大勝、維新の会の躍進、れいわ新選組の議席増、立憲民主党・国民民主党・日本共産党の議席後退などとなった。与党の大勝は、野党共闘が十分機能しなかったことによってもたらされた。前回、前々回の参院選では、立憲野党はすべての1人区で統一候補を立てて戦ったが、今回は限定された選挙区にとどまった。新自由主義の行きづまりに危機感を持つ与党は、ウクライナ危機を利用して国民の不安を煽るとともにマスコミや連合などを利用して、野党共闘の分断を画策してきた。国民民主党が与党の予算案に賛成するなど、選挙直前までの野党内の混乱は国民に不信感を与えた。反自民票が受け皿を失い、改憲を鮮明に打ち出している維新の会などに、一定の支持が流れたものと考えられる。
 今後3年間は、特別の事情がないかぎり国政選挙がない。岸田首相は、安倍氏の死を受け「思いを受け継ぐ」として、改憲と軍拡に前のめりの発言を行っている。きわめて危険な動きと言わざるを得ない。ロシアや中国情勢を利用したさまざまな改憲キャンペーンが張られ、国民世論にも一定の影響を与えているが、選挙後の共同通信社の世論調査でも、なお58%が「(改憲は)急ぐ必要はない」と答えている。改憲と軍拡は〝戦争する国〟への道であり、社会保障改悪や消費税増税につながる道である。平和憲法を守る運動を強める必要がある。
 コロナ禍と物価高で疲弊した国民の暮らしを安定させる施策こそが、政権に求められている。10月に予定されている75歳以上の医療費窓口負担2倍化を中止し、社会保障の拡充を求めるなど、今回の選挙で私たちが掲げた「開業保険医の要求」の実現のため、さらに運動を広げてゆくことが重要である。また、国会への働きかけを強め、市民と立憲野党の共闘の再構築にも努力していきたい。
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