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新年度予算案 こども医療費無料 高校生まで通院入院無料65%へ 中3まで所得制限なし無料6割に

2023.03.15

 
県内市町の2023年度の当初予算案が明らかになり、多くの市町でこども医療費助成制度が拡充される見込みであることが分かった。
 報道と協会調査によると、3月7日現在までに17市町で拡充が盛りこまれている(表2)。
 特に、医療費無料の範囲を高校生世代まで拡充する市町が多く、この予算案が実現すれば、高校生まで医療費無料とする制度を持つ市町は36市町と県内の87%に広がることとなる。このうち、入院だけでなく、通院も無料としている市町は27市町と全体の65%となった(表1)。
 2015年度まで高校生世代の医療費を無料とする市町はなかったが、運動を受け10年弱で県内市町の9割にまで無料化が広がることとなる。
 また、これまで助成対象が低所得者に限られていた尼崎市では、未就学児の所得制限が撤廃され、2年連続で制度が改善する見込みだ。
 この間、協会はこども医療費助成をはじめとする県内の福祉医療制度を毎年調査し、結果をまとめたパンフレットを作成してきた。それらを活用しながら、各地の社会保障推進協議会(社保協)などでは、請願署名や街頭宣伝活動など、こども医療費無料化の拡充を求めて、さまざまな運動に取り組んできた。
 たとえば尼崎社保協では2021年から中学卒業までの医療費無料化を求めて請願署名に取り組み、昨年11月には高校生までの医療費無料化をかかげる市長の当選につながり、制度を前進させている。
統一地方選で県内どこでも18歳まで無料に
 一方で、こども医療費無料化に後ろ向きな自治体も存在し、その理由として、無料にすると「コンビニ受診が増えて医療費が増える」「モラルハザードが起こる」などをあげる。
 「コンビニ受診」とは、「一般的に休日や夜間の時間帯における...軽症患者の行動」(Wikipediaより)とされるが、医療費無料化が広がっても各地の休日・夜間診療所の受診者数は増えていないことは協会の調査で明らかになっている。
 そもそも疾病は早期発見、早期治療が重要であり、受診が必要と感じた時にお金の心配なく医療機関が受診できることを、「コンビニ受診」と称して批判するのは誤りである。むしろ、患者負担により経済的に裕福でなければ医療にアクセスできない制度こそ「モラルハザード」であるといわざるを得ない。
 子どもとその保護者は「無料」だからではなく「必要」だから受診するのであり、金銭的なハードルはなくすべきである。
 従って、本来は国の責任において全国一律、窓口負担は無料とすべきである。その実現を求めるとともに、県・各市町が先行して無料を実現していくことが重要だ。
 4月に迫る統一地方選挙は、各自治体のこども医療費助成制度をさらに拡充させる絶好の機会だ。制度拡充に前向きな首長や議員を当選させ、県内の18歳までの医療費完全無料化を実現させよう。

表1 23年度当初予算案をもとにした県内こども医療費無料の市町の状況
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表2 市町の助成拡充内容(23年度予算案時点)
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