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マイナカードのオンライン資格確認 6割超でトラブル 政府は保険証廃止法の成立を強行

2023.06.15

 医療機関でのマイナンバーカードによる資格確認でのトラブルをはじめ、個人情報の漏洩や住民票や印鑑証明の誤発行などトラブルが相次いでいる。協会では、会員医療機関を対象に、マイナンバーカードによる保険資格確認に伴うトラブルについてアンケートを実施し、6割超の医療機関でトラブルが起こっていることなどを明らかにした。このような状況にもかかわらず、政府・与党は6月2日、来年秋に健康保険証を廃止し、マイナンバーカードによる資格確認を原則化する法律を可決・成立させた。協会・保団連は保険証廃止の実施の中止を求めて引き続き運動していく。


 調査は5月26日から会員医療機関4587件にFAX送信し、6月5日までに657件(回答率14.3%)の回答が寄せられた。
 オンライン資格確認については8割超の医療機関が実施していると回答し、そのうち6割超の医療機関がトラブルが「あった」と回答した。
 トラブルの内容は「保険者情報が正しく反映されていなかった」が223件と最も多く、次に「カードリーダーまたはパソコンの不具合によりマイナ保険証を読み取りできなかった」が173件だった。また、他人の保険情報への紐づけも6件あった。
 トラブルへの対処方法は、「健康保険証による資格確認」が最も多く、保険証を廃止した場合、医療機関にさらなる混乱が持ち込まれることが予想される。

図 トラブルの有無とその内容
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オンライン資格確認システム トラブル事例調査結果
トラブル多く保険証廃止は混乱招く
 4月から医療機関に導入が原則義務付けられたオンライン資格確認システムについて、協会が実施した調査で、マイナンバーカードでの資格確認でトラブルが多数起こっていることが明らかとなった。トラブルへの対処として、多くのケースで現行の健康保険証で資格確認を行っており、保険証を廃止してしまうと、医療現場がさらなる混乱に陥ることが予想される。調査結果の詳細を紹介する。
オンライン資格確認実施8割超
 オンライン資格確認の実施状況について聞いたところ、83.9%の医療機関が実施していることが分かった。「療養担当規則」が変更され、適用対象外もしくは経過措置を申請した医療機関以外にはマイナンバーカードによるオンライン資格確認の導入が義務付けられたため多くの医療機関が対応を行っている実態が明らかになった。
 一方で、9.1%の医療機関が「経過措置を申請した」、5.8%の医療機関が「準備中」と回答した。NTT等の通信会社やベンダーの繁忙により、準備中の医療機関も一定数存在することも明らかになった。
他人への紐づけ6件「見覚えのない住所」など
 トラブルの有無について聞いたところ、「あった」は64.2%で「なかった」の34.5%を大きく上回っており、スムーズに本格運用が始まっているとはとても言えない状況が明らかになった。
 トラブルの内容について複数回答で聞いたところ、「保険者情報が正しく反映されていなかった(無効・該当資格なしと表示されたなど)」が最も多く、223件の医療機関で起こっており、トラブルがあったと回答した医療機関354件の実に6割超が経験していることになる。
 次に「カードリーダーまたはパソコンの不具合によりマイナ保険証を読み取りできなかった」が173件だった。また、マスコミで連日のように問題視されているマイナンバーの他人の保険情報への紐づけも6件あった(図1)。
 多くのトラブルが保険者の紐づけの誤りとカードリーダーやそれに接続するパソコンの不具合であり、医療現場で安心して利用できるようになるためには、マイナンバーと保険情報の正しい紐づけとカードリーダーやプログラムの改修が必要であると思われる。マイナンバーの他人の保険情報への紐づけについて、詳細を聞いたところ、「患者さんの全く見覚えのない住所が登録されていた」「夫婦の保険情報が逆さまになっていた」など深刻な実態が明らかになった。
 トラブルへの対処として、保険情報の紐づけの誤りについては「その日に持ち合わせていた健康保険証で資格確認をした」(269件)、「前回来院時の情報をもとに対応をした」(74件)、「保険者に連絡をして相談した」(57件)だった。また、機器のトラブルについては、「レセコンメーカーに相談をした」が113件だった(図2)。
 現状では、たとえ保険者によるマイナンバーと保険情報の紐づけに誤りがあっても、保険証により対応ができているというのが実態だが、現行の健康保険証が廃止されれば、マイナンバーによるオンライン資格確認がうまく機能しなかった場合、保険資格確認ができず、医療機関の窓口での混乱は必至である。
 実際、今回の調査でも28件の医療機関で患者がマイナンバーカードしか持っておらずやむを得ず患者に10割負担を求めた事例があった。
神戸新聞やABCテレビで放送
 協会ではこの調査結果の5月30日時点の結果をマスコミにリリース。神戸新聞とABCテレビが報じた。
 協会では引き続き来年秋の保険証廃止実施を止めるために運動を続ける他、保険証が廃止されても、券面で保険情報を確認できる「資格確認書」を無条件で保険者から被保険者に送付する仕組みの創設を訴えていく。

図1 トラブルの内容(複数回答可)
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図2 トラブルへの対処(複数回答可)
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